【書評】「マストドン〜次世代ソーシャルメディアのすべて〜」は読むべきか

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どうも、匠です。

瑣末なマストドンウォッチャーとして、購入すべきかを迷いに迷った挙げ句、「マストドン 〜次世代ソーシャルメディアのすべて〜(以下、マストドン新書)」の単行本を予約して手に入れました。

しかし、発売日当日にKindle版が発売されるという裏切り。。。ぐぬぬ。。。

仕方ないので単行本は後で自炊して保管にするにしても、とりあえず全力で読了しましたので、そこからの書評です。

ちなみに、匠の立ち位置は、マストドンユーザーとして本書を楽しめるか、です。

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結論

第3章と第4章が面白い!

率直に、いちユーザーとして、あるいは技術者として楽しめる部分は多くはないなと感じました。その反面として、こういう人々には楽しめる内容が満載です。

  • ブランディングに使う例を知りたい企業人
  • 大規模インスタンスの運営例を知りたい人
  • マストドンってなんぞや?と全体感を知りたい人
  • 流行り廃りなどマストドンを語りたい人
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注目ポイント

このマストドン新書の注目ポイントとなる箇所はいくつかありますが、その中でも匠が惹かれた箇所を「マストドン新書に向いてる人」別にご紹介します。

ブランディングに使う例を知りたい企業人

匠が最も注目したのは第3章の「日産がマストドンを利用する理由」です。正直、期待以上の内容でとてもおもしろかったです。

この章の早々にガツンとかまされます。

日産ではソーシャルメディアではものを売る気はないと最初から決めています。そうするとソーシャルメディアでの広報のミッションはブランドの強化のためにファンを増やすことに集約できるんです

なんで「日産が、、、?」と経緯を知らなかった匠は、単純明快な目的に、ナルホド!と思わされます。そうですよね、あのトゥートの数々で売りたいなら、ちょっと遠すぎますもんね!!

この章ではソーシャルメディアに何を求め、どういう経緯でマストドンに至ったかが描かれます。キチンとここまで中の人が語ってくれるのは貴重です。

そこから彼らがとても研究しているな、と感じさせてくれる文章がこちらです。

コミュニティのお約束というのはいわば「プロトコル」です。そのため、その流儀を完全に無視した形でコミュニケーションに挑戦しても、そのコミュニティの内部では話が通じないことになってしまいます。そこがソーシャルメディアでの運用の面白さでもありますし、難しさでもあります。

一般ユーザーとしてあまり意識することは少ないのですが、企業ユーザーとして適切にトゥートしようと思ったら、こんな感じで考えないといけないのかと感心させられました。

そのプロトコルや仕組みに対する、細やかな気遣いが次の文章に現れています。

マストドンでは、リプライはローカルタイムラインに流れません。そのため、日産では現状ファンでのリプライは「@アカウント名」ではなく、会話の最後に「>アカウント名」とう形で書き換えて返信しています。そうすることで、ファンとの会話そのものもファン全体に流れるように工夫しているのです。

その手があったのか!と思わず、柏手を打ってしまいました。あれらのトゥートにはそういう意味があったんですね。

こういうノウハウ、重要です。一部で発信を目的にアカウントを使っている身としては目からウロコでした。いや、同じことを匠はできませんが。

このように、第3章はアカウント運営についての考え方やノウハウがとても勉強になりました。

大規模インスタンスの運営例を知りたい人

第4章はマストドン会議にも出席されていたPixivの清水智雄さんでした。この章では、日本最大規模のインスタンス「Pawoo」の裏側が語られます。

まず、なぜPixivがなぜマストドンに至ったか、その魅力を体感されたのは次の一文です。

マストドンのインスタンスに参加し、ローカルタイムラインの「緩い」一体感を目の当たりにして、「こういう場所を提供できれば、創発的に作品が生まれる場所になるはずだ」と直感したんです。

ローカルタイムラインの可能性を早くから見出しておられたことがわかります。この文章の後もPixivとマストドンの親和性について語られるのも、非常に興味深いです。

その中で、PixivがどれだけPawooに傾倒していったかを現す文章があります。

ローンチのタイミングではかなり大所帯(総勢20名以上)でしたが、現在はコアメンバーとしてエンジニアは2名ですね。

さすがは日本最大規模に成長したインスタンスを運営する会社!とびっくりしますよね。費用回収の見込みがない中で、ここまでツッコめるのはなかなかスゴいです。

そして、彼らの運営姿勢(考え?)にも注目です。

いったんインスタンスを立ち上げて、他のインスタンスと連合したりリモートフォローが生じた瞬間から、他のインスタンスから参照される、という意味でもある種の責任を伴います。
仮にインスタンスの運営を終了する、となった場合も、アーカイブを参照できるようにするべきで、技術的な観点は別としても気楽に始められるものではないとは思いますね。

この後の文章にインスタンス運営の責任や、コミュニティ運営の難しさが語られます。ここまで考えている運営だからこそ、信頼が持てるな、と思ってしまいました。事実、匠のメインアカウントはPawooですし。

この章では、上記のように厳しい内容もありつつ、大規模インスタンスならでは、あるいは通常インスタンスの運営としても、気になる内容が描かれています。

マストドンってなんぞや?と全体感を知りたい人

第1章でマストドンに関するお話を歴史も紐解きながら解説されています。そちらで特徴的な内容はITmediaの松尾さんの記事の方が適切に解説されています。

マストドン新書を読んでみた 第1章「マストドンブームがやってきた」
5人の著者によるマストドン解説本。まずは第1章を読んでみての感想を。

それよりも匠が気になったのは、第2章のコグレマサトさんの下記の一文です。

大事なのは、自分の興味のあるインスタンスがあるか、自分が楽しめるインスタンスがあるか、で、もしなくても自分の手でインスタンスを立ち上げられることこそが、ああマストドンであってよかったな、という話なんでは無いかと思っています。

「マストドンってなんぞや?」で、マストドンを始める人たち全員にまず知って欲しい一文です。

ここにマストドンを楽しむ要素が詰まっていると思うのです。この文章の後、コグレマサトさんの楽しみ方を紹介されているわけですが、上記の自由さを踏まえてから読むと「あくまで例であって、違う楽しみがあって当然だ」という気持ちで読めてきます。

つまり、「自分×マストドン」の楽しさがあることを認識させてくれるわけです。

流行り廃りなどマストドンを語りたい人

この答えについて、何度も言及されるのですが、明確な指針や予想は記載されていません。そういう内容を期待して読むと正直ガッカリします。匠はガッカリした派です。。。

中には、全然マストドンらしさを感じてない方のコメントがあったりして、なんだそりゃ、と思わされたりもしました(苦笑

ただ、ライターさんたちの経験や想いから、こういう流行り方をするかも、といったいくつかの可能性が示されています。それはマストドンユーザーとしては、知識として、肥やしとして、今後を意識するには有用かもしれません。

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まとめ

この本では、まだ匠が知らないこともいくつかあったので勉強になりました。

特にオススメは第3章の日産自動車アカウント、第4章のPawoo運営の2つの章です。やはり実際にきちんと使っている人たち、あるいは運営している人たちの声こそ貴重ですよね。

その2点では気づきがあり、この新書に満足しています。たぶん、この2つの章はもう2回くらい読み込むかな、という感じです。

それ以外の章、業界に詳しいライターさんたちが好き勝手に言っている文章を、知識の共有として読むのか、妄想の一部として読むのかによって受け止め方が変わるんだろうと考えます。そういう意味で、この手の本は好き嫌いが別れるはずです。

匠としては、次はインスタンス運営&先進ユーザーの声を期待してますよ!!>出版社様