DaVinci Resolveをなるべく安価で快適に操作にしたい!
そう思って、グラフィックボード(GPU)を購入してみました。
興奮のあまり「手元に」を2回繰り返してしまっているのはさておき、早速 DaVinci ResolveのためにGeforce RTX 3060 を取り付けて使用してみました。
この記事は、動画編集/DaVinci Resolveのためにグラフィックボード「Geforce RTX 3060」を購入したい方のお役に立てば幸いです。
Geforce RTX 3060とは
NVIDIA社製の2021年最新のミドルレンジGPU(グラフィックボード)です。
GeForce RTX™ 3060 Ti および RTX 3060 では、NVIDIA の第 2 世代 RTX アーキテクチャ、Ampere のパワーを活用して最新ゲームをプレイできます。強化されたレイ トレーシング コアと Tensor コア、新しいストリーミング マルチプロセッサ、高速の G6 メモリによる驚異的なパフォーマンスが得られます。
GEFORCE RTX 3060 / 3060Ti グラフィックス カード | NVIDIA
つまり、しっかりとした3Dゲームや動画編集をしたいユーザーには最低ラインと言えるようなGPUみたいです。詳しい内容は下記のようなメディアの動画を見ると良いでしょう。
また、詳しいスペックは下記の記事をご覧になると良いかも知れません。

つまり、筆者のように下位モデル(Geforce GTX 1650)を使用していたユーザーが、ステップアップするには手頃なGPUということになります。
実際には、各PCメーカーごとにファンなどのスペックが異なるボードが発売されています。
その中でも、個人的には比較的 安価なZOTACモデルがオススメです。

ZOTACは安価なパーツが多いのですが、手持ちのGTX 1650が安定して動作してくれていて、今も愛用しています。
ただ、下記のMSIのボードも比較的に手頃で良いらしいですね。

Geforce RTX 3060を装着してみた
購入した 「ZOTAC GeForce RTX 3060 Twin Edge OC グラフィックスボード ZT-A30600H-10M」について、まず装着した課程を簡単にご紹介します。
ちなみに、装着したPCはこちらです。
この自作PCは、下記の通りにマザーボードを換装した後の状態です。
グラフィックボードの装着
手元に届いた箱はこちらです。
けっこう大きいのですが、グラフィックボードってこんなもんかなと。
開封して取り出してみると、黒を基調とした2ファンのグラフィックボードが出てきます。



けっこうゴツくて、これまで使っていた Geforce GTX 1650 がかなり小さく見えてしまいます。
実際に装着してみると、こんな感じでサイズに歴然とした差があることが分かります。
ちなみに、下のGeforce RTX 3060は補助電源の接続も必要です。そのため、グラフィックボード単体の消費電力が2倍近くになる点も考慮が必要ですね。
筆者の自作PCの電源ボックスの容量には十分余裕がありましたが、購入時は電源ボックスの出力についても注意が必要ですね。
Windowsの認識
グラフィックボードをマザーボードに取り付けた後、Windowsを起動するとあっさり認識してくれました。まったく問題無し。
かなり簡単なんですが、より正確な動作をさせるためにはNVIDIA社公式ドライバをインストールするのが定番です。下記のサイトからダウンロードできます。
詳しい手順は省きますが、公式ドライバーインストール後に GeForce Experience で NVIDIA Studio ドライバーをインストールしました。
詳細な違いは体感できていないのですが、動画編集や画像編集に適した機能がNVIDIA Studio ドライバーなら利用できる層です。
そのため、クリエイターはGameドライバーよりもStudioドライバーをインストールすべきです。
その後、NVIDIAコントロールパネルで確認すると、下記のように認識されていました。
この時点では、Geforce GTX 1650 と Geforce RTX 3060 の双方にディスプレイを接続して、デュアルディスプレイで作業できるようになりました。
また、2つのGPUの差は GPU-Z というアプリケーションで詳しく確認することができました。


色々違い過ぎて、正直もうよく分からない感じですね(汗)
ただ、動画編集に効果があると言われるMemory Sizeが3倍になっていることが分かります。
ベンチマーク
GeForce RTX 3060は、既に各所で様々なベンチマークや比較情報が報告されています。
ただ、自分のコンピュータではどうなのか?ということを知っておくことは必要です。
そこで筆者の自作PCでも、ソフトウェアを2種類を使ってベンチマークしておきました。
Blackmagic RAW Speed Test
「Blackmagic RAW Speed Test」は、実行するコンピュータのCPUよびグラフィックスの性能を検証する無料のベンチマークソフトウェアです。
この結果によって、どのBlackmagic RAWの映像素材を編集できるかを判定できます。
特に Blackmagic社のカメラユーザーや動画編集ユーザーに人気がありますね。
このベンチマークソフトを筆者の自作PCで実行した結果はこちら。
上の画像をご覧の通り、3456p30までであれば問題無く利用できるという結果でした。
詳細はともかく、4K動画を十分に編集できるという結果だと受け止めておきます。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
こちらも代表的案ベンチマークソフトウェアです。
無料で使えるので非常に便利です。著名なYouTuberなんかは皆使っていますね。
こちらを筆者の自作PCで実行してみました。
こちらの画像の通り、「3840x2160」で「高品質」なゲームを実行するのと同様のベンチマークを実行します。
このベンチマークを実行した結果はこちら。

上の画像の通り、普通という判定結果でした。
このレベルのグラフィックボードで「普通」という判定にビックリしますね。ゲーマーって一体…
Geforce RTX 3060をDaVinci Resolveで使うと?
ここまで紹介してきたZOTAC GeForce RTX 3060 Twin Edge OC グラフィックスボード ZT-A30600H-10Mですが、手持ちの動画編集ソフトにどう役立つかが筆者には重要です。
筆者がメインで使用している動画編集ソフトはこちら。
Blackmagic DaVinci Resolve Studio
このコロナ禍で特に有名になった動画編集ソフトですね。
動画界のプロはもちろんのこと、YouTuber界隈でも利用者が増えたと聞きますし、参入した芸能人も利用していたりします。
この動画編集ソフトの特徴の一つとして、GPUを効果的に活用してくれることが挙げられます。
言い換えると、それなりのGPU無しでは高解像度の動画編集がツラいアプリケーションでもあります。
この動画編集ソフトを快適に使いたいがために、今回 GeForce RTX 3060を購入したと言っても過言ではありません。
なお、無料版では効果的にGPUを活用してくれない(NVIDIAエンコーダー未対応)らしいので、有償版が必要となる点は御注意ください。
DaVinci Resolve StudioでGeforce RTX 3060を使用する
DaVinci Resolveの環境設定を開き、「メモリー&GPU」を選択して、下記の箇所を確認します。

NVIDIA Geforce RTX 3060が認識されていれば、通常は「GPU選択」で「自動」を選ばれているはずです。
しかし、筆者の自作PCのように2GPUで構成している場合には、キチンと選択されていることを確認します。
後述しますが、できれば NVIDIA Geforce RTX 3060だけを選択しておくことをオススメします。
また、こちらで設定した後は DaVinci Resolveを再起動しておきましょう。
そうしないと、多くの場合は設定が適用されません。
以上で、利用する準備は完了です。
編集作業
まずは「カット」や「エディット」、「Fusion」の3つページで使ってみました。
その結果、フルHD動画の編集は快適ということが分かりました。
ページ切替はさすがに若干モタつきますが、シークなどの操作でモタつく場面が激減しました。
動画編集のストレスはかなり減るので、導入効果が高いと言えます。
しかし、4K動画だとシークが遅いという点は改善されませんでした。
ただ、最適化メディアの作成もかなり速くなりましたので、最適化メディアさえ作ってしまえば問題無いんですけどね。
レンダリング
いくつか動画のレンダリングについて、処理時間の比較検証をしてみました。

Geforce RTX 3060との比較対象として、これまで使用していたGeforce GTX 1650で試してみました。
差が出やすいように、4Kサイズの動画のレンダリングで検証して見た結果がこちらです。
テストケース | RTX 3060 | GTX 1650 |
---|---|---|
1. 約40分から約10分にカットした 4K動画のレンダリング | 3分1秒 | 計測不能 |
2. 約40分から約10分にカットしつつ、 エフェクトをたくさんかけた 4K動画のレンダリング | 18分49秒 | 39分8秒 |
なぜかテストケース1では、Geforce GTX 1650では4K動画のレンダリングが何度やってもエラーになってしまって出力できませんでした。
DaVinci Resolveのバグがありそうですが、それが正常にレンダリングできるようになっただけでもかなりメリットを感じられました。
また、テストケース2では奇跡的に両方ともレンダリングに成功しました。
その結果、エフェクト(ノイズリダクションほか)をガンガンにかけた場合だと、レンダリング時間にして倍以上の差が出た結果が得られました。
このことから、Geforce RTX 3060導入で快適な4K動画の編集環境を手に入れられたと言っても過言ではありません。
これは筆者の狙い通りで、喜ばしい結果です。
DaVinci Resolve StduioでGeforce RTX 3060 を使う課題
良いことばかりではなく、いくつか課題があることも判明しました。
課題1. せっかくのGPU専用メモリを使い切ってくれない
これはちょっとした問題です。下記をご覧ください。


エフェクトをふんだんにかけたり、ノイズリダクションをはじめとした重たい処理をたくさん実行してみたりしましたが、残念ながら8GB以上のGPU専用メモリを消費することはありませんでした。
せっかく搭載しているハードウェアを使い切れないというのは残念ですが、実害は無いのでまだ我慢できるところではあります。勿体ない気もしますけど。
課題2. GPUの切替で毎回アプリの再起動が必要
DaVinci Resolve あるあるなんですが、環境設定をした後はアプリケーションを再起動が必要なことが多々あります。

上記はGPU設定を行ったにも関わらず、上手く切り替わってくれていない状態です。
複数GPUに対応してはいますが、シームレスに切り替えることはできないということになります。
課題3. マルチGPUの使い方
DaVinci ResolveはマルチGPUで使用した場合、GPU 0 を優先とします。決して均等には使用しません。
そのため、マルチGPUでかつ能力の違うGPUを使用する場合は、GPU 0になるように能力の高いGPUをWindowsに認識させる必要があります。
筆者の場合は、通常は消費電力を抑えるために Geforce GTX 1650を使用し、必要なときだけGeforce RTX 3060を使用する運用をしたいわけです。
そうなると、CPU 0にGeforce RTX 3060を認識させるわけにはいきません。
結局は、DaVinci ResolveはGeforce RTX 3060だけ使用するように設定せざるを得ませんでした。
とはいえ、マルチGPUにしたからと言って、大して性能アップしないことは実証できているので、これはこれで構わないんですけどね。

なお、マルチGPUはDaVinci Resolve Studioの特徴の一つのはずなんですが、パフォーマンス向上に貢献しないのはいかがなものか…
さらなるGPUアクセラレーション
DaVinci Resolve 17 – Studio | BlackmagicDaVinci Resolve 17 – Studio | Blackmagic Design Design
DaVinci Resolve StudioはマルチGPUに対応しているため、システムのパフォーマンスを高速化できます!MacでMetal、WindowsまたはLinuxでOpenCL/CUDAを使用して、追加したGPUで驚異的なパフォーマンスが得られます。
ちなみに、下記のように3GPUも試してみましたけど、全然使い切ってくれない結果でした…
課題4. 頻繁にエラーが出る
これは Geforce RTX 3060だけの問題ではなく、DaVinci Resolve自体の問題だと思います。

特に4K動画のレンダリングで多いのですが、よくエラーが出て、処理がフリーズします。
こうなると、どうにも動かなくなってアプリケーションを終了せざるを得なくなります。
この事象はGeforce RTX 3060を導入したとて、よく起こる問題です。
諦めてアプリケーションを再起動すれば、何事もなかったかのようにレンダリングが成功したりすることがほとんどなんですけどね。めんどくさいのです…
DaVinci ResolveユーザーはGeforce RTX 3060は買うべきか?
筆者の結論はこちらです。
DaVinci Resolveを快適に使い続けたいなら買っても後悔しない
もちろん、現時点では必要ない人も多いはずです。我慢すればなんとかなる部分も多いです。
しかし、iPhoneなどのスマートフォンの動画は4K対応していますから、近い将来4K動画が標準になるはずです。
今でもZoomのオンライン会議の録画は4Kサイズの動画ですし、デジカメやGoProなども4K動画の撮影が標準的に扱えますす。
そう考えると、4K動画に耐えうる動画編集環境に今から備えておくのも間違った選択肢ではないでしょう。
また、NVIDIA RTXシリーズはビジネスや生配信に効果的な機能も備えていますから、動画編集以外の役にも立つことも期待できます。
そんなわけで、自作PCユーザーは価格次第では購入を検討することは良いことだと考えています。

皆様の動画編集ライフ、GPU購入検討に少しでもお役に立てば幸いです。
最後まで読んでいただいて、誠にありがとうございました。