GoProユーザーとしては、下記の記事を見逃せませんでしたよね。
なぜ Mac ユーザー優先なのか!?
そんなGoPro社と自分を呪った日もありました。
しかし、そんな悔しさをバネに他の方法を調査しましたので、ご紹介したいと思います。
GoProとは
GoProは、「アクションカメラ」と言われる分野の代表格です。
この記事をご覧になる方は皆ご存知だとは思いますが、群雄割拠のアクションカメラ分野で未だトップをひた走るブランドです。
その中でも、2019年末に発売された下記の GoPro を使用しています。

このGoPro HERO 8、とにかくスペックがスゴい!そこに惚れました。
以下はその凄いスペックの抜粋です。
写真
HERO8 Black の仕様
スーパーフォト + 高性能 HDR
ビデオ
4K 60fps、広角視野角
TimeWarp 2.0 ビデオ
4K 広角、リニア レンズ
タイム ラプス
4K 広角、リニア レンズ
手のひらに収まるサイズで、この高画質な写真や動画が撮影できるのは魅力的です。
もちろんミラーレス一眼のようにボケを出したり、露出などの調整をしたい場合には向かないのですが、手振れ補正を効かせて動きながら録画したい、とにかく長時間記録したい、外出して良い場面を逃したくない、なんて用途にはうってつけです。
遊園地で動きの速い子供を追いかけながら撮影したい!なんて用途には、ホント良いと思うんですよね。
GoProはZoom/OBS/Skypeのカメラに使えないの?
GoPro はカメラデバイスですから、PCにUSB接続すればWebカメラとして利用できそうな物ですよね。しかし…

上記のように、GoProはUSB接続するとUSBストレージとして動作します。
そのため、Webカメラとして機能しないのが通常です。
しかし、なんとか高画質な撮影ができるWebカメラとして利用したいですよね。
できればオンライン会議やWebinerなんかに利用できると、ホント嬉しい!
GoProをWindowsのZoom/OBS/Skypeのカメラに使う方法
いくつか方法があるので、まとめてみました。
方法1. キャプチャーデバイスを利用する
タイトルにもありますが、下記のようなキャプチャーデバイスを使うのが一般的です。


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これらのデバイスをWindows PCのUSB端子に接続することによって、カメラからのHDMIでの入力を受け付けられるようになります。
金額が高いほど、フルHDはもちろん4Kなどの高画質に対応でき、低遅延で撮影することができます。
オンライン会議やWebinerなどリアルタイムさが重要な場面では、この辺は重要なポイントになりますので、安い中華製を買うと失敗します。特に遅延は、ライブ配信するなら深刻な問題。
また、これらのHDMI入力デバイスを利用する場合、GoPro HERO8 Blackなら、下記のようなオプションが必要になります。

こちらで GoPro からHDMI出力を可能にします。通常のUSB端子では対応できないので注意が必要です。
ここまで紹介しておきながら、この方法は品質が良いものの、次のような問題があります。本来はこんな問題を解決するために、GoProをWebカメラ化したいはずですよね。しかし、ハードウェアだけでは解決しにくい問題がいくつもあるわけです。
配線が煩わしい
次の画像を見ていただければ分かるんですが、配線がややこしいです。


USB Type-CケーブルとHDMIケーブル、それぞれのコネクタが競合してしまったりします。そのため、競合しないようにケーブルを考慮する必要があります。
他にもキャプチャーデバイスが必要になりますが、そう考えるとこれだけのケーブルや器具が必要になります。

上記の画像の通り、接続するためだけにこれだけの機材が必要になるわけです。
- GoPro HERO8 Black
- Cam Link 4K (キャプチャーデバイス)
- HDMIケーブル
- HDMI変換ケーブル
- USB Type-Cケーブル
正直メンドクサイですよね。
撮影画面の余計なアイコンが映る
これはやってみて気づいたことなんですが、どうしても撮影画面をHDMI出力するため、操作画面の余計な表示が残ってしまう問題があります。

上の画像のように、Zoomにカメラとして認識できた後に気づきますが、画面上部の両端に余計なアイコンが表示されてしまいます。
これはキャプチャーデバイス経由でのHDMI出力が、カメラのディスプレイと同じ内容を表示する仕組みである以上、仕方ないといえます。
ただ、GoProの場合は更に面倒な仕様があります。

SDカードを差し込んだままGoProとメディアモジュラーを起動すると、上の画像の画面が表示されてしまいます。
撮影画面では無く、メディア内の画像を選択する画面が最初に表示されるわけです。
この画面の右上のカメラアイコンを選択して、初めて撮影画面が表示できます。
この操作は、消えて黒いままのカメラのディスプレイを指で右に2回フリックしてから、タップすることになります。しかも反応がちょっと悪い…
ホントにこの仕様は邪魔すぎますね…
コストが高い
必要な機材が多いということは、それだけかかるコストも多くなります。定価で考えてもこれくらいの費用が必要となるわけです。
機材 | 費用 |
---|---|
GoPro HERO8 Black | 45,900円 |
Elgato Cam Link 4K | 20,590円 |
Amazonベーシック HDMIケーブル | 680円 |
UGREEN Micro HDMI延長ケーブル | 799円 |
Anker USB Type C ケーブル | 699円 |
合計 | 68,668円 |
もちろんキャプチャーデバイスなどの品質を下げれば、もっとコストは抑えられます。しかし、その分は画質が低下するということになります。4Kはもちろん、Full-HD(1080p)でさえ無理かも。
そうなると本末転倒担ってしまいますよね…
そもそもなんですが、高画質を追求するだけならWebカメラを購入する方が安上がりで手軽んです。


しかし、それは分かっていて、敢えてGoPro使いたいんですよね。
そ、我々は手持ちのGoProで安く済ませたいんです!
方法2. RTMPストリーミングを活用する
GoProは、RTMPサーバへ接続して動画配信を行う機能も備えています。
ということは、下記のように構成することが可能なはずです。

構成自体は、絶対にできるはずと確信がありました。
そこで、下記の記事を参考にして Nginx でRTMPサーバを構築して試してみました。
まずは検証として、下記の構成で試してみました。

この方法は色んなパターンを試してみましたが、とにかく遅延が酷い!
やってみると分かるのですが、家庭内Wi-Fiなのに遅延が10数秒とか発生するので使い物になりません。もちろん、RTMPサーバのスペック問題かと思いましたが、そうでもないらしい…
ちなみに、下記の2パターンで試してみましたが、どちらもダメでした。
- GoPro -> Window PC [RTMPサーバ & VLC(RTMPクライアント)]
- GoPro -> Linux PC [RTMPサーバ] -> Windows [VLC(RTMPクライアント)]
VLCが悪いのかと思って、他のRTMPクライアントも試してみましたが、もっと酷くなる一方でしたね。おそらくは RTMPプロトコルもしくはRTMPサーバ内の処理(ffmpeg?)あたりがボトルネックになっている模様ですね。
GoProではないですが、同じように検証された動画が公開されています。
あと、もし遅延少なく動作としたとしても、Zoom/Skype を使う度に毎回 Nginx と OBSをわざわざ起動して準備するのがメンドクサイ!
かといって、YouTubeやTwitchはインターネットですし、公開サービスですから経由したくないですよね。
よって、この方法は断念せざるを得ませんでした。
RTMPサーバをチューニングすれば、もう少しなんとかなりそうな気もしましたが。
方法3. GoPro2WebCamを利用する
一番安上がりで、最も確実で簡単なオススメの方法はこちらです。
Webcam Tool for Action Cameras
低遅延のRTMPサーバ機能とカメラデバイス機能を提供してくれる、優れた有償ソフトウェアです。
このソフトウェアなら、GoPro 以外にも広く対応することができます。
下記の通り、最新 GoPro Hero 8 / Max も Osmo Action もOK!
GoPro Hero 5, 6, 7
Webcam Tool for Action Cameras for GoPro | GoPro2Webcam.com
GoPro Hero 8*
GoPro Max*
GoPro Hero 5 Session
GoPro Fusion
Xiaomi Yi, Yi 4K, Yi 4K+
DJI Osmo Action
SJCam 4000 WiFi, 4000+, 5000, SJ6, SJ7, SJ8 Plus, SJ8 Pro
Akaso Brave 7 LE
RTMP server
File input (e.g. from mp4 video)
Remote video input from url
しかも、Zoom/Skypeだけでなく、OBS studio にも対応しているのが嬉しいところ。
・Zoom
Webcam Tool for Action Cameras for GoPro | GoPro2Webcam.com
・Skype (desktop edition)
・OBS Studio
・Magix Vegas Pro 17
・VideoLAN VLC Player
Teams未対応なのが残念ですが、当方Teamsユーザーではないので無視です(笑)
遅延はどれくらい?
実際に利用している様子が分かる動画はこちら。
英語ですが、Step 5 の 2:50 くらいから見ると良いです。遅延の少なさが分かります。
実際に使ってみましたが、遅延は1秒あるかないかくらいです。もうこれ、絶対うちのWi-Fiがボトルネックになってるよね、くらいの諦めがつくくらい低遅延さで、感動しました。
このソフトウェアの利用手順は、上記の動画で詳しく網羅されています。いちおう日本語しか分からない方でも使えるように、下記で簡単にご紹介します。
利用手順1.Webcam Tool for Action Cameras 起動(Windows側)
アプリ「Webcam Tool for Action Cameras」を開きます。
利用手順2.Webcam Tool for Action Cameras 初期設定(Windows側)

「Camera」の「Model」を選択して、「Start camera」ボタンを押下します。
このとき、「Low Latency mode」を選択しておくのがポイント。
利用手順3. RTMPサーバとしての設定(Windows側)
このアプリを起動したPCはRTMPサーバとして動作しますので、その設定を行います。

「RTMP server」欄に「rtmp://{PCのIPアドレス}/live」と入力した後、「Finish setup」ボタンを押下します。
利用手順4. 接続待ち(Windows側)

これでカメラからの接続待ちになったことを確認します。
利用手順5. 接続設定(カメラ側)
GoProの場合、まずはGoProに電源を入れます。
そして、下記のGoProアプリを起動します。

前提として、これらアプリで手持ちの GoPro を登録できていることとします。

予め登録されているGoProを選択して「GoPro をコントロール」を選択します。

次の画面でいちばん左へフリックして「Live」を選択します。

この「ライブの設定」画面で、プラットフォームには「RTMP」を選択します。
利用手順6. RTMPサーバへの接続設定(カメラ側)

こちらでは、先の手順で設定したRTMPサーバへ接続するための設定を入力します。
下記の通りに設定します。
ネットワークに接続 | (Windows PCと同じネットワーク) |
RTMP URL を入力 | rtmp://192.168.1.30/live |
解像度 | 1080p |
毎回 URL を入力しないといけないので、iOS/Androidのユーザー辞書にURLを登録しておくとラクになります。
利用手順7. 接続(カメラ側)
いよいよGoProアプリから、カメラからRTMPサーバへ接続するために「開始」します。

そうして、下記の画面になれば配信(ストリーム)が開始されます。

利用手順8. カメラの選択(Windows側)
最後に、配信に使用するアプリケーション側でカメラデバイスとして設定します。
Zoomの設定画面では、こちらのように「Virtual Webcam 1 ~」を選択します。

Zoomの場合、会議ウインドウを起動してからでも設定可能です。
また、Skypeだと下記の画面から「Virtual Webcam 1 ~」を選択します。

以上の手順で、アクションカメラを WebCam として使用できます。
利点と弱点
この方法の利点はこちら。
- GoProユーザーは追加費用が安くすむ
- アクションカメラを再利用できる
- フルHD(1080p)で撮影できる
- Wi-Fiだけで利用できる(有線不要)
ただし、この方法の弱点もいくつかあります。
- でも有償(¥2,000くらい)
- 毎回のセットアップが少し面倒くさい(手順が多い)
- Wi-Fiのせいで不安定になることもある(トラフィックや負荷が原因?)
- 4Kでは撮影できない
- 開発元に馴染みがない(信頼性やサポートが…)
あと、一点だけ注意があります。これは善し悪しある話です。
広角の画角は必要ですか?
GoProでRTMP配信すると必ず広角の画角となります。
そのため、画質は良いけど、映る割合が小さくなる問題があります。
ただ、複数人で映ったり、広い会議室なんかだと広角は利点になります。
正直言うと、1080p対応のWebカムを購入する、のがオススメです。
毎回のセットアップが煩わしくて、匠は結局こちらを後日購入して快適になってしまったのは内緒です。ちょっと負けた気分…

あと、利用が会社などで許されるならスマホをWebCam化した方が無難だとは思います。
GoProが進化すると必要なくなる
先の記事には、下記の記載があります。
なお、GoPro Webcamデスクトップユーティリティが対応しているのは現在Mac OSのみで、Windows版は開発中。
GoProがWebカメラになるβ版ファームウェア公開 - AV Watch
いつかはわかりませんが、いつか対応するはずです。
今後はコレが最も有望な方法となるハズです。
また、Pythonでプログラミングできる人は下記を使うのも良いでしょう。(有線/無線の両方が必要になりますし、執筆時点ではGoPro HERO 8未対応ですが。)
しかし、それまで待てないユーザーにとっては、今回紹介した方法は有力な方法になると思います。
ぜひ活用していただければと思います。一緒にGoPro+Zoom/Skype/OBSライフを楽しみましょう!
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。