そんな疑問や悩みを解決できる記事です。
MacBook Air最新機種の「M2チップ搭載 MacBook Air(略:M2モデル)」ですが、円安と半導体不足による値上げで高額商品になりました。そのため、M2 MacBook Airを買う価値があるのか、疑問を感じる人が多くいます。

M1 MacBook AirユーザーだったApple信者こと、いつもの匠です。
M2 MacBook Airは発売日に発注して手に入れましたが、体感できるほど性能が向上しているかは疑問です。正直スタバでドヤ顔するためのガジェットかなと🤣
このような疑問を踏まえ、筆者は前モデルこと「M1チップ搭載 MacBook Air(M1モデル)」とM2モデルとを、徹底的に比較検証しました。この記事ではM2 MacBook AirをM1モデルと徹底比較!M2をおすすめしない理由を詳しく紹介します。
この記事を読めば、M2 MacBook Airの性能について具体的に理解できるようになりますよ。
M2 MacBook Airは薄いまま進化したがコスパが悪い

結論からお伝えすると、M2 MacBook Airはおすすめしないです。
M1 MacBook Airと比較した場合、M2 MacBook Airは次の強みと弱みがあります。
強み | 短所 |
---|---|
・基本性能が高くて速い ・薄くてモバイル性が高い (持ち出しやすい) | ・高価すぎ(コスパ悪い) ・動画編集や写真加工 以外で 性能を生かしにくい |
動画編集や写真加工の性能を求めるなら、Windows/MacのデスクトップPCを購入した方が良いです。単に持ち運べるハイスペック機が欲しいならM1 MacBook Proの方が良いです。ブラウジング/SNS/メール送受信/動画視聴など一般利用が目的で、コスパを求めるなら圧倒的にM1 MacBook Airの方が良いです。特にM1 MacBook Air GPU8コア/メモリ16GBはコスパが良くておすすめですね。
M2 MacBook Airは以下の条件すべてに合致した人だけが買うべきMacです。
- 軽いパソコンを自宅外へ頻繁に持ち出したい
- 動画編集や写真加工などGPUを酷使するアプリケーションを頻繁に使用したい
- 長時間、パソコンをバッテリーだけで作業したい
- 筐体が熱くならないノートパソコンが欲しい
- 上記4つの条件が揃った、もっとも性能の良い(高速な)パソコンが欲しい
- コストパフォーマンスより、性能を重視して手に入れたい
- Apple製品に課金せずにはいられない
とはいえ、やはり最新機種が欲しい!という気持ちも分かります。筆者も届いた瞬間は、かなりワクワクして、性能の良さに感動しました。その経緯は以下の記事で紹介しています。
ファーストインプレッションでは、確かにテンションが上がりました。しかし、M1 MacBook Airと比較するうちに、様々な疑問を感じる結果になりました。
以降は、M2 MacBook Air と M1 MacBook Airを比較した結果を詳しく紹介します。
Apple製品をスペックだけで比較するなら公式サイトを見れば十分

M2 MacBook Air と M1 MacBook Air のカタログスペック比較は、以下のページで公開されています。
ただ、実際の実機で比較するとどう差があるのかが重要です。特に実際のアプリケーションを使った場合の違いを知りたい人が多いはず。
本記事では筆者が保有するM2 MacBook AirとM1 MacBook Airを実際に比較して、どれくらい差があるのかを以下3つの観点で紹介します。
MacBook Air M2 vs M1その1 ハードウェアの比較

M2 MacBook AirとM1 MacBook Airの本体サイズと重さについて、実機を使って比較しました。特に薄さについては重点的に調べました。
サイズ
M2モデルの本体サイズは以下です。

カタログスペックで2機種のサイズを比較すると以下です。
サイズ | M2 MacBook Air | M1 MacBook Air |
幅 | 21.5 cm | 21.24 cm |
---|---|---|
奥行き | 30.41 cm | 30.41 cm |
厚さ | 1.13 cm | 0.41~1.61 cm |
高さ (画面を開いた時) | 約22cm | 約23cm |
これらカタログスペックを実証するために、実際に重ねてみました。

真上から見ると、厚さの違いは分かりません。

MacBook Airはいずれも丸角の長方形です。M2モデルの方が小さくて隠れているということもありません。つまり、幅と奥行きはまったく同じと表現して差し支えないわけです。
厚さ
MacBook Airシリーズ最大の特徴は、その薄さです。そこで、M2モデルとM1モデルの厚さを比較しました。

先端部分はM1モデルの方が薄い一方、ヒンジ側はM2モデルの方が薄いです。これはM1モデルのヒンジに向かって厚くなる形状に対して、M2モデルは全体が均一な厚さの形状だからです。どちらが良いかは好み次第でしょう。
液晶ディスプレイを開いて実際に使う形状は以下です。

僅かにM1モデルのキーボードに傾斜が見られますが、それ以外はほぼ同じと言って差し支えありません。実際に使用する際に厚さの違いを感じることはないでしょうね。
重さ
M2モデルは僅かに軽くなりました。実測結果を以下に示します。

カタログスペックでの重さは以下です。
M1 MacBook Air | M2 MacBook Air |
1.29 kg | 1.24 kg |
引用元:Mac - モデルを比較する - Apple(日本)
カタログスペックよりもM1 MacBook Airが軽い理由は不明ですが、重さに殆ど差がないことは分かります。
筆者の場合、傷の防止のために外装シールを貼りました。また、自宅の外に持ち出す場合にはインナーバッグに入れます。この2つを装着した後の重さがこちらです。

ノートパソコンとしては一般的ですが、それなりの重さです。1.5リットルのペットボトル1本分、500mlペットボトル3本分と考えると、結構な重さになりますね。
実際に持ち歩く際の重さは、マウスや外部キーボードを持ち歩くか、本体だけ持ち歩くのかなどで変わるため、悩ましいところです。
ディスプレイ
M1モデルとM2モデルのディスプレイを並べると、ベゼル(黒枠部分)の太さとノッチ(切り欠き/カメラ部分)の違いを感じます。例えば、2台の液晶ディスプレイを並べると以下になります。

2モデルの液晶ディスプレイのカタログスペックは以下です。
液晶ディスプレイ | M2 MacBook Air | M1 MacBook Air |
種類 | Liquid Retina ディスプレイ | Retina ディスプレイ |
---|---|---|
対角サイズ | 13.6インチ | 13.3インチ |
解像度 | 2,560 x 1,664ピクセル | 2,560 x 1,600ピクセル |
輝度 | 500ニトの輝度 | 400ニトの輝度 |
色域 | 広色域(P3) | 広色域(P3) |
テクノロジー | IPS | IPS |
True Tone | ○ | ○ |
引用元:Mac - モデルを比較する - Apple(日本)
M2モデルのディスプレイの方が、わずかに大きくて優れています。 しかし、正直 Liquid Retinaディスプレイの利点はほとんど感じません。これで作業効率が上がるかというわけではないでしょう。
そこでベゼル部分を比べた方が、M2モデルの進化をより具体的に感じられます。

M2モデルはベゼルが小さくなった分、液晶ディスプレイが広くなりました。つまり、M2モデルは本体の大きさはそのままに画面だけ広くなったことを指します。わずかな差ですが、広がった作業領域は作業効率を上げてくれる良い進化です。
その代わりにM2モデルでは、ノッチ(切り欠き/カメラ部分)が搭載されてしまいました。

慣れの問題はありますが、タスクバーに表示できるアイコンが減ったのが残念です。なぜパンチホール型を採用しなかったのかは疑問を感じますね。
スピーカーとオーディオ
M2モデルはスピーカー位置が大きく変わりました。具体的には以下の写真をご覧ください。

スピーカーのカタログスペックは以下の通りです。
スピーカー | M2 MacBook Air | M1 MacBook Air |
種類 | 4スピーカー サウンドシステム (高域用ツィーター×2基 低域用ウーファー×2基) | ステレオスピーカー (フルレンジ 左右2基) |
---|---|---|
ドルビーアトモス再生 | ⭕ | ⭕ |
空間オーディオ | ⭕ | - |
引用元:Mac - モデルを比較する - Apple(日本)
正直、日常使いで音質の違いが分かるかは怪しいですが、M2モデルは確実に性能アップしています。
筆者は音質を語れるほど詳しくないため、貧弱な録音環境ではありますが、スピーカーから最大音量で再生させて録音してみました。

フリーBGM素材『野良猫は宇宙を目指した』を再生して録音した結果が以下です。
また、フリー BGM素材『No Escape』を再生して録音した結果が以下です。
分かりづらいですが、わずかにM2モデルの低音と高音の音質が良くなったと感じられます。ただ、普通に音楽を聞いても目立った違いは感じないかもしれません。
筆者が使用していた最近のLenovo ThinkPad や VAIO など、一般的なWindows系ノートパソコンよりは段違いに音が良いです。これはハッキリ分かりました。
M1モデルは汚れが付着しやすい配置なのに対して、M2モデルはスピーカーが完全に隠れる配置になっています。これは故障や汚れに配慮した結果でしょうか。
なお、M2モデルのオーディオ性能はスピーカー以外も向上しています。
オーディオ機能 | M2 MacBook Air | M1 MacBook Air |
イヤホン | ||
---|---|---|
空間オーディオと ダイナミック ヘッドトラッキング | ⭕ AirPods(第3世代) AirPods Pro AirPods Max使用時 | - |
ハイインピーダンス ヘッドフォン対応 | ⭕ | - |
マイク | ||
マイク性能 | 指向性ビームフォーミングを持つ スタジオ品質の3マイクアレイ |
引用元:Mac - モデルを比較する - Apple(日本)
オンライン会議はもちろん、YouTubeのVlogや独り語り、Voicy、Podcastを聞くには十分に満足できます。音楽や映画を見るのにも普通に困らないレベルです。ただ、より臨場感を求めてイヤホンや外部スピーカーで聴きたい、とも筆者は感じました。
もし空間オーディオや高音質にこだわりがあるなら、迷わずM2を選ぶべきでしょうね。
MagSafe充電とUSB Type-C充電
M2 MacBook Airでは、MagSafe電源コネクタが搭載されました。

MagSafe電源コネクタとケーブルを使った充電(以下、MagSafe充電)には以下のメリットがあります。
- Thunderbolt端子(USB Type-C端子)2つを生かしたまま充電可能
- 接続が簡単
ただし、MagSafe充電自体の性能は良いのか悪いのか分かりません。そこで今回、USB Type-C充電しか搭載していないM1 MacBook Airと、充電速度の速さを比較しました。
計測結果を比較すると以下の通りでした。

比較項目 | M2 Macbook Air MagSafe充電 | M1 Macbook Air USB Type-C充電 |
---|---|---|
充電完了時間 | 2時間35分59秒 | 2時間14分30秒 |
単純にMagSafe充電は遅いという結果になりました。ちなみに、M2 MacBook AirでもUSB Type-C充電をしましたが、M1 MacBook Airの結果とほぼ同じでした。
この充電完了時間の差はわずかでしたが、旅行や出張などでわざわざMagSafe充電ケーブルを持ち歩く必要はないという結論です。充電ケーブルを持ち歩くなら、USB Type-C充電ケーブルで良いと断言できます。
自宅やオフィスでUSB Type-Cコネクタの機材を2つ以上接続する場合だけは、MagSafe充電ケーブルは活躍するかもしれません。しかし、筆者はドッキングステーションを使用しているため、MagSafe充電の出番は無さそうです。
なお、この実験で使用した電源アダプタはM2 MacBook Airに同梱された「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」でした。

M2 MacBook Airで使用したMagSafe電源ケーブル標準添付品です。最大70Wまで対応できるそうです。

M1 MacBook Airで使用したUSB Type-Cケーブルは以下でした。

ハードウェアの比較結果から分かったこと
M2モデルとM1モデルのハードウェアを比較して判明した事実は、以下の6点です。
- M2 MacBook AirとM1 MacBook Airのサイズ/重さに差はない
- 500mlペットボトル2〜3本分の重さは覚悟すべき
- 均一な薄さのM2モデル、流線型のM1モデル
- 作業領域の広さ優先ならM2モデル、タスクバーのアイコン数を重視するM1モデル
- 高音質と空間オーディオならM2モデル
- オンライン会議 / 動画視聴 / 音声視聴はどちらでも満足できる
- MagSafe充電よりUSB Type-C充電の方が充電が速い
MacBook Air M2 vs M1その2 ベンチマークテスト

M2モデルとM1モデルについて、ベンチマークテストで比較しました。ハードウェア特性の差が詳しく把握できます。
Novabench
総合的なベンチマークテストを行ってくれる Novabench で計測しました。


それぞれの計測結果と比較しました。

比較項目 | M2 Macbook Air | M1 Macbook Air |
---|---|---|
CPU Score | 1251 (Apple M2) | 1156 (Apple M1) |
RAM Score | 373 (24GB) | 268 (8GB) |
GPU Score | 644 (Apple M2) | 451 (Apple M1) |
Disk Score | 139 (SSD) | 135 (SSD) |
M2 MacBook AirはCPU/GPUが強化された結果になりました。これは期待通り、M2チップによる性能アップです。
一方、RAMを3倍に増やしたもののRAM Scoreの差は少ない(1.5倍にも届かない)、Disk Scoreも大差なしでした。このテストが読み込み/書き込み速度を重視しており、その差が少なかったことが原因と推測できます。
GeekBench 5
定番ベンチマークテスト「Geekbench 5」で、M2モデルおよびM1モデルのCPU性能を計測しました。まずシングルコアとマルチコアのスコア値がこちら。


次にOpenCLの計測スコアを比較すると以下でした。


計測結果を以下の表にまとめました。

比較項目 | M2 Macbook Air | M1 Macbook Air |
---|---|---|
シングルコア | 1905 (Apple M2) | 1699 (Apple M1) |
マルチコア | 8735 (8コア) | 7286 (8コア) |
OpenCL | 26868 (Apple M2 CPU8コア GPU10コア) | 16993 (Apple M1 CPU8コア GPU7コア) |
M2 MacBook AirはCPU/GPUの強化が、より鮮明に現れた結果になりました。特にOpenCLのスコアでは、6割増という大幅なスコアアップになったことが分かります。
ただ、今回は評価対象のスペックが均等ではなく、OpenCLスコア差はGPUコア数の差が大きな要因になっているのは間違いありません。M1モデルのGPU 8コアを選べば、差が詰まった可能性があります。
CINEBENCH
定番CPUベンチマークテスト「Cinebench」でも、M2 MacBook AirおよびM1 MacBook AirのCPU性能を計測しました。シングルコアとマルチコアのスコア値がこちら。

計測結果を以下の表にまとめました。

比較項目 | M2 Macbook Air | M1 Macbook Air |
---|---|---|
シングルコア | 1581 pts (Apple M2) | 1492 pts (Apple M1) |
マルチコア | 7936 pts (Apple M2 8コア) | 6520 pts (Apple M2 8コア) |
CINEBENCHでも順当にM2チップの進化を感じられる結果になりました。
ランキングを見ると、インテルCore i9やAMD Threadrippery 1950よりも高いスコアを叩きだしています。ただ、もっとコア数が多いCPUはたくさんあるので、M2のマルチコアスコアは高くないことも特徴です。
つまり、MacBook Airは1コアの処理スピードが求められるアプリに強い、コア数が大量に必要な処理は強くない特性が分かります。
Amorphous MemoryMark
メモリ(RAM)の処理速度を計測する「Amorphous MemoryMark」を使用して、メモリ性能を比較してみました。

3回の計測結果を平均して、以下の表にまとめました。

比較項目 | M2 Macbook Air | M1 Macbook Air |
---|---|---|
平均 SEQ1M T8 読み込み | 64.57 GB/s | 57.83 GB/s |
平均 SEQ1M T1 読み込み | 63.24 GB/s | 60.16 GB/s |
平均 RND4K T8 読み込み | 31.63 GB/s | 29.00 GB/s |
平均 RND4K T1 読み込み | 12.76 GB/s | 14.30 GB/s |
平均 SEQ1M T8 書き込み | 66.71 GB/s | 49.61 GB/s |
平均 SEQ1M T1 書き込み | 67.04 GB/s | 64.39 GB/s |
平均 RND4K T8 書き込み | 29.13 GB/s | 22.93 GB/s |
平均 RND4K T1 書き込み | 9.58 GB/s | 9.39 GB/s |
概ねM2モデルはメモリ性能も進化したと言える結果でした。
ただし、何度やってもRND4K T1 読み込みだけはM1の方が良い数値になることも分かりました。原因は分かりませんが、Finderなどでファイルを探す際などにはわずかにM1モデルの方が速いのかもしれません。
Amorphous DiskMark
最後はディスク/SSDの処理速度を計測する「Amorphous DiskMark」を使用して、ディスク性能を比較してみました。

3回の計測結果を平均して、以下の表にまとめました。

比較項目 | M2 Macbook Air | M1 Macbook Air |
---|---|---|
平均 SEQ1M QD8 読み込み | 3,277.08 MB/s | 3,300.53 MB/s |
平均 SEQ1M QD1 読み込み | 2,689.28 MB/s | 2,211.07 MB/s |
平均 RND4K QD64 読み込み | 1,182.26 MB/s | 1,015.72 MB/s |
平均 RND4K QD1 読み込み | 52.47 MB/s | 61.76 MB/s |
平均 SEQ1M QD8 書き込み | 3,158.84 MB/s | 2,467.13 MB/s |
平均 SEQ1M QD1 書き込み | 3,205.88 MB/s | 2,504.13 MB/s |
平均 RND4K QD64 書き込み | 117.23 MB/s | 84.33 MB/s |
平均 RND4K QD1 書き込み | 30.92 MB/s | 35.09 MB/s |
概ねM2モデルのディスク性能が良い結果ですが、M1モデルの方が良いケースもあります。M2モデルの方が速い項目では2割増しで速度アップした一方、ランダムアクセスのQD1では読み書きともにM1モデルの方が高速です。
このベンチマークテストでは、M1モデルからM2モデルになってディスク性能が大幅の向上したとはいいにくいという結果でした。
ベンチマークテストから分かったこと

5種類のベンチマークテストソフトウェアを使用して、M2 MacBook Airについて判明したのは以下の3点でした。
- CPUおよびGPUは順当に進化している。
- 特に1CPU(1コア)の能力が重視されるアプリケーションに強い
- メモリやディスクの性能が大幅に進化したとは言えない
Apple社がM2モデルを売り出し文句を、順当に裏付けられる結果でしたね。

M2チップとM1チップの違いだけが大きいんだね
MacBook Air M2 vs M1その3 アプリケーションの動作性能

どれだけスペックが良くなったように見えても、実際の作業に効果がないなら意味がありません。
そこでM2モデルとM1モデルそれぞれで、負荷の高いアプリケーションを動作させて比較しました。いずれも筆者がよく使うアプリケーションなので、作業の改善に寄与できるかが具体的に分かります。
Adobe Photoshop(写真加工)
代表的な写真編集ソフトウェア「Adobe Photoshop」で、当ブログの写真加工は実施しています。そのため、このソフトウェアの処理を高速化できれば、筆者の作業効率アップに直結します。
今回はソフトウェアの起動に加えて、処理時間がかかる2つのニューラルフィルタを使って、比較しました。
計測結果を以下にまとめました。

比較項目 | M2 Macbook Air | M1 Macbook Air |
---|---|---|
アプリケーションの起動 | 3秒7 | 4秒44 |
ニューラルフィルタ JPEGのノイズを削除 | 37秒 | 51秒 |
ニューラルフィルタ カラーの適用 | 35秒 | 49秒 |
純粋にM2モデルではPhotoshopが速い結果になりました。特に重たい処理。
ただ、今回比較したM1モデルはGPU7コア/メモリ8GB、M2モデルはGPU8コア/メモリ24GB。2つの筐体のスペック差がありました。もしM1モデルでGPU8コア/メモリ16GBを選んでいたら、この差が埋まった可能性がありました。
余談ですが、Windows版と比較すると、どちらのモデルもメチャクチャ速いです。M2モデルになってから、その傾向がより顕著に現れました。M1モデルでも、もっとスペックが高いWindowsデスクトップPCより速いことも、筆者環境では判明しています。

今後のPhotoshop作業は、全部M2 MacBook Airでやる決心をしたよっ!
Blackmagic Davinci Resolve Studio(動画編集)
代表的な動画編集ソフトウェア「Blackmagic Davinci Resolve Studio」を、筆者は愛用してます。こちらはGPUを活かしての処理が特徴で、ハードウェア差が顕著に現れるアプリケーションです。
今回は、ソフトウェアの起動に加えて、4K30p動画でのタイムラインのシークとレンダリングについて検証しました。
計測結果を以下の表にまとめました。

比較項目 | M2 Macbook Air | M1 Macbook Air |
---|---|---|
アプリケーションの起動 | 3秒14 | 3秒90 |
4K30p動画 タイムラインのシーク | スムーズ | だいたいスムーズ |
4K30p動画 レンダリング (42秒 エフェクト有) | 50秒 | 3分21秒 |
はっきりとハードウェアの差が現れました。特にレンダリングの時間差が約4倍だったのは大きいです。
CPU性能とGPUコア数の差が、各処理に大きく影響しており、レンダリング中もメモリ不足に至りませんでした。つまり、CPU/GPU差が直結したと言い切れる結果でした。
この結果からは動画編集するならM2モデルを選ぶ価値があると明言できます。

GPUコア数の多いデスクトップPCよりはレンダリングが遅かったよ。でも、M2 MacBook Airは持ち出せるのが良いよね。利用場面に合わせて使い分けるよ!
HandBreak(動画変換)
筆者がよく利用する動画変換ソフト「HandBrake」でも、性能を比較しました。今回は1080p動画5つをすべて720p動画に変換するバッチ処理を実行しました。
計測結果を以下の表にまとめました。

比較項目 | M2 Macbook Air | M1 Macbook Air |
---|---|---|
1080p→720p 5個の動画変換 | 40秒 | 1分11秒 |
負荷のかかり方を見るとCPUはフル、GPUも半分くらい使用しています。このことからM2モデルの処理時間が45%も短縮できている原因は、CPUとGPUの処理性能差によるものだと推測できます。
ちなみにGPU負荷のかかり方があまり変わらない、CPUはフルに使い切っている様子から、GPUコア数の差よりもCPU性能差がそのまま結果に直結した可能性が高いと推測できます。

M2モデルの動画変換はM1モデルから大幅に性能アップしたね
Blender(3DCG)
筆者はたまにしか使っていませんが、3DCGソフト「Blender」で3DCGのレンダリングを比較しました。
インターネットで公開されている3Dデータを使用して、レンダリング時間を比較したのが以下です。
計測結果を以下の表にまとめました。

比較項目 | M2 Macbook Air | M1 Macbook Air |
---|---|---|
3D CG レンダリング | 1分33秒 | 5分05秒 |
M2モデルの3DCGレンダリング性能は、M1モデルから大幅に性能アップしたことを裏付ける結果になりました。
アクティビティモニタの様子を見ると、M2モデルではCPUとGPU双方に負荷がかかってあっさり処理が完了しています。一方、M1モデルはCPU負荷が高く、GPUに負荷が少ないため、CPUがボトルネックになっていたのでは無いかと推測できます。

M2モデルは3DCGの処理性能も大幅アップしたんだね
Fusion 360(3D CAD)
3Dプリンタ愛好家として、筆者はFusion360を頻繁に使います。通常の設計で違いを感じるところはないでしょうが、3D CGとして3Dデータをレンダリングする際にも差が出るはずです。
そこで今回は筆者が自分で設計した単純な箱を、ローカルレンダリング(Macでレンダリングする処理)して性能差を確認しました。
計測結果を以下の表にまとめました。

比較項目 | M2 Macbook Air | M1 Macbook Air |
---|---|---|
3D CG レンダリング | 2分59秒 | 7分36秒 |
先に紹介したBlenderの処理結果と同じく、M2モデルが圧勝しています。しかも、ほぼ3倍近い大差が付きました。
こちらもアクティビティモニタの様子を見ると、M2モデルではCPUとGPU双方に負荷がかかってあっさり処理が完了しています。特にCPUはリソースを使い切っています。一方、M1モデルも同じくCPUリソースを使い切っていて、GPUに負荷が少ないです。そのため、純粋にCPU性能の差が結果に現れたとのだと言えそうですが、それがこんなに大きな差として現れるとは驚きです。

やっぱりM2モデルは3DCGの処理に強くなったんだね!
Create ML (機械学習)
機械学習にもM2モデルの性能アップが寄与できるのか、比較調査しました。
今回はXCodeのCreate MLを使って、画像認識の初歩として「Create MLで自作のモデルを作成して画像認識する」の手順を参考にした機械学習を実行しました。学習対象とした写真は、犬2,500枚と猫2,500枚です。
計測結果を以下の表にまとめました。

比較項目 | M2 Macbook Air | M1 Macbook Air |
---|---|---|
約5,000枚 写真 トレーニング(学習) | 2分53秒 | 3分15秒 |
M2モデルの方が2割くらい速かった計算です。思いの外、差が付かなかったなという印象です。
アクティビティモニタの様子を見ると、どちらもGPUに大きく負荷がかかっています。しかし、GPUを使い切っていない状態で動作しているように見えるため、使えるコア数が限られていると推測できます。同じGPUコア数を使って、時間短縮ができているM2モデルは期待通りの性能アップができているといえます。

GPU全コアが使い切った機械学習をすれば、M2モデルとM1モデルの性能差が大きく広がるだろうね。
Microsoft Excel(計算処理)
筆者は大量のデータ処理や分析に、定番の表計算ソフト「Microsoft Excel(Excel)」を常用しています。ExcelでCPUを酷使する処理は多くありませんが、大量データを関数処理する場合は影響があります。
そこで今回は個人情報テストデータジェネレーターでダミーデータ10万件を作成して、それらの重複行をCOUNTIFS関数でカウントする処理を実行しました。
計測結果を以下の表にまとめました。

比較項目 | M2 Macbook Air | M1 Macbook Air |
---|---|---|
10万行データ 重複行数カウント | 20秒62 | 22秒62 |
M2モデルの方が速く完了しました。しかし、その差はわずか10%でした。これではExcelなどの計算処理で、M2チップの恩恵が存分に得られたようには感じられませんね。

単純なデータ処理の効率化が目的では、M2 MacBook Airを選ぶのはコスパが悪いね
アプリケーション性能から分かること

3つのアプリケーションで比較検証した結果、以下4点が判明しました。
- 全体的にM2 MacBook Airはより速く処理ができるようになった
- 動画編集、写真加工、3DCG、機械学習で処理速度の向上を体感しやすい
- 表計算など単純なデータ処理では差が現れにくい
GPUを活用できるか、CPU複数コアを活用できるか、などソフトウェアの特性によっても異なるために一概には言えません。しかし、M1モデルよりもM2モデルの方が遅いと感じることはないとははっきり言えますね。

そうはいっても、性能差と見合うコスパだとは思えないけどね
M2 MacBook Airはおすすめしない
1ヶ月もの間しっかり使い込んで検証した結果、M2モデルの用途別の向き不向きは以下に整理できました。

ゲーム以外なら不満を感じること無く、動画編集や写真加工、3Dモデリング、プログラミングに大きく寄与できる性能だと判明しました。
ただ、M2 MacBookをM1 MacBook Airと比較して得た、筆者の結論は以下です。

- 今はM1 MacBook Air (メモリ16B)を選ぶべき
- 外出先で動画編集や写真加工したいユーザーだけがM2 MacBook Airを購入すべき
M2 MacBook Airの方が間違いなく性能は良いです。M1モデルより遅く感じることはありません。だからといって、ユーザー全員が価格に見合うほどの恩恵を受けられるわけではないと感じました。
恩恵が大きいのはモバイルで動画制作や画像加工をするユーザーだけ。そんな投資対効果の悪さを考えると、万人にはM2 MacBook Airを奨められません。

筆者の使い方ならM1 MacBook Airで十分だったよね
もう既に買ってしまったので、M2 MacBook Airに見合うように腕を上げていこうと筆者は考えています。ただ、これからMacBook Airを購入する皆さんは、以下からM1 MacBook Air もしくは M1 MacBook Proを購入しましょう。
