当サイトでは、アクセス解析ツール「Matomo(旧Piwiki)」を活用して、サイト運営を行っています。Matomo ご存知ですか?

アクセス解析ツールといえば「Google Analytics」が有名ですが、巷には様々なツールが オープンソース / 企業サービスなど様々ありまして、Matomo もその1つです。
では、Google Analytics ではなく、Matomo を使う理由は何かといえば色々ありますが、そのうちのいくつは、こちらでも紹介されています。

2. Matomoのメリット
Matomo VS Google Analytics!徹底比較!どっちがいいの?
2-1. Googleにデータを渡さなくて済む
2-2. 機能がシンプルでわかりやすい
2-3. 外部リンククリックの計測が最初から設定されている
2-4. 自分のアクセスを除外する方法がシンプルでスマート
表面的な機能差でいうとそうなんです。
ただ、残念ながら、上記のメリットで Google Analytics を使わない気になりますか?というと微妙じゃないでしょうか。
匠は Matomo の大きな価値はそこじゃない!と声を大にして言いたいです。
結論から言えば、matomo を利用する本当の価値は「ヒートマップ分析」を活用できることにあります。
この記事では、その価値と方法についてご説明します。
ブログやWebサイト運営者の方々に少しでもお役に立てれば幸いです。
なぜアクセス解析をするのか

というのも、当ブログでも様々な記事を書いてみているのですが、これら記事の品質を探る方法は限られているわけです。
その方法とは、アクセス解析か付いたコメントでのフィードバックが得られないないんですよね。
当サイトでいえば、アクセス解析ツールか、はてなブックマークのコメントくらいです。しかも、後者でいろいろ付くのはレア。
そうなると、アクセス解析ツールで記事の品質を探ることになるわけです。
もちろん「書きたいモノを書いて、読みたい人が読めば良い!」なんてブロガーもたくさんいらっしゃるでしょう。あるいはストレス解消に記事を書かれる方もいるかもしれません。
しかし、匠はあくまで役に立つ記事を共有して喜びを覚える共有厨です。そうなると、記事の品質=役に立っているか=最後までキチンと読まれているかは重要になります。そのようなスタンスの違いがある前提をご理解ください。
アクセス解析ツールの使い方は様々あり、記事の品質の測り方も様々です。
当サイトのようにブログの場合、主には次の2つが基準になります。
- 記事が最後まで読まれているか
- 記事で意図するところ(主に外部リンク)がクリックされているか
誤解しないでいただきたいのですが、後者はアフィリエイトやアドセンスのリンクとは限りません。もちろん、それらも含みますが、題材になった他の記事や、当ブログの別記事への内部リンクも含みます。
つまり、読者が意図通りに読んでくれているか、ということになります。
しかし、これらを知るのは単純には難しい!
Google Analytics でも分かってページがどこまでスクロールされたかくらいまでです。
これで記事の品質を判断するのは、かなり厳しいと言わざるを得ません。
だって、どこまでスクロールされたかが分かったところで、ホントに効果的に記事をリライト(修正)できますか?もしできるなら、皆さんスゴすぎです。匠は無理でした。
こんな前提があって、Google Analytics だけでは物足りなくなってしまいました。
アクセス解析ツール Matomo ってなに?
Matomo (旧Piwiki)とは、オープンソースのアクセス解析ツールということになっています。
実際に、日本でもユーザー会があります。いよいよオープンソース、つまりは無料で使えるようでワクワクします。
Matomo を実際に利用するには?
Matomo はたしかに無料で使えます。ソフトウェア部分は。
しかし、インフラ部分を用意する必要がありますし、SaaS版は有料です。

アクセス数によって費用が高額になっていく価格体系です。
そのため、今回のような分析を行う本気ユーザーは、実質オンプレで自力運用するしかないことになります。
もちろん自力でインストールして構築することも可能ですが、けっこう面倒くさいです。(経験済)
そんなケースに併せて、各クラウドのマーケットプレイスで用意されています。
ただ、クラウドだと意外と費用がかかるので、ブロガーや小規模サイトなら下記のVPSをオススメします。
見た目はあれですが、ConoHa VPS は費用対効果が高くて色々と愛用しています。その中でも、今回はこちらが非常に役立ちます。


名前が旧名のままで更新されてませんが、現在も Matomo のイメージが提供されています。そのため、そのイメージを元にサーバーを作れば、すぐに Matomo が使えます。
ただ、Matomo 単体でも沢山の機能がありますが、今回の目的を果たすにはヒートマップ解析が必要になります。
Matomo の使い方の参考サイト
意外と国内では matomo の価値が認識されていないみたいで、利用が広がっていないように見受けられます。そのため、情報源が少ないのが実状です。とりわけ日本語情報は。
そういった事情から、下記の日本ユーザー会のユーザーガイドなんかは非常に有益です。
下記ページのように動画での解説も揃っているので、そちらもご覧いただくと良いでしょう。
Matomo - Heatmap & Session Recording
Matomo ではマーケットプレイスが用意されており、様々な機能が追加可能です。
その中でも特に魅力的なのが、ヒートマップ解析です。

はい、ここで引かないこと。確かに有料です。
しかも、 最低でも$229/year、つまり年間2万5千円くらいはかかります。
月額に直すと、月2000円前後。これを高いと思うかどうかはサイトの収益状況に寄るでしょう。
月間で数万以上稼いでいるなら問題無いでしょう。
リライトできれば元がすぐ取れるはずですから。
収益のないサイトではツラいと思います。そのため、アクセス数の少ない、あるいは収益のないような趣味の個人ブログなんかには合いません。
ちなみに、ヒートマップ解析を提供している各社サービスと比べると、月間アクセス数が数万を超えるなら大幅に安いことが分かります。

現在、User Heatはだいぶ値下げされています。月間PVが30万以下 かつ 今後もそれ以上は見込めないと考えているなら十分アリだと思います。当サイトは残念ながら該当しないのですが…
もし「ヒートマップ」自体をご存じない方は、英語ですが、下記の動画で雰囲気を掴むとよいでしょう。
導入方法や使い方は下記にもありますし、英語が分からないなら Google Chrome の翻訳機能を使ってページを翻訳しながら読み進めましょう。
当サイトでは導入方法については紹介しません。ご了承ください。
Matomo のヒートマップ解析はなぜ効果的?

ここが一番重要なポイントです。
「ヒートマップ解析」を使えば、なぜリライトが効果的にできるのか?です。
それはヒートマップ解析なら下記が分析できるからです。
- どこで読者が離脱、つまり読むのを辞めたか
- 上記のうち、特に急減したところはどこか
- 読者がどこをクリックあるいは注視したか
- 見るデバイスごとの違いはあるか
これらはスゴくスゴく重要な分析結果です。
無闇にリライトするより、遥かに改善ポイントが具体的にわかります。
具体的なリライト方法は、下記のような感じになります。
1 | 読者が離脱した箇所 (読むのを辞めた箇所) | ・読むのを辞めてしまうリンクや質の悪い文章があった ・意図通りなら維持。 ・意図通り でなければ、リンクの撤廃 や 文章の改善。 |
2 | 読者が急減した箇所 | ・優先的に改善すべき箇所と判断して対応する ・急減しているところだけ改善して様子を見る |
3 | 読者がクリック/注視した箇所 | ・意図通りなら維持。 ・意図通りでなければ差し替える ・リンクできそうな箇所だと思われていそうなら、 実際のリンクに差し替える、など。 |
4 | 見るデバイスによって違う箇所 | ・ 違いがあるなら、各デバイスの画面に合わせた コンテンツ幅に変更する ・ 画像や文章を一画面に収まりやすくする、など。 |
こんな感じでしょうか。
SEOのためのリライトと違って、記事の品質を上げるリライトですから、かなり本質的な対応が求められます。それには、このヒートマップ解析は欠かせない要素技術となります。
Matomo のヒートマップ解析で効果的にリライトする手順
Matomo に Heatmap & Session Recording がインストールされているモノとします。
ヒートマップ解析は、次の手順で実行します。

ヒートマップの作成手順は解説しませんので、コチラをご覧をください。
ヒートマップが作られている前提として、当ブログで比較的アクセスの多い下記ページを例にして、解析手順を書いてみます。
そちらを matomo の heatmaps 画面で見るとこんな感じになります。

この画面でヒートマップ解析を行っていきます。
なお、この記事はWindows PC を利用する方が読むであろうという想定がありますので、デバイスとしてはPCを選択します。

解析例1. 初期画面の表示量を知る
まずは表示された画面を見て、最初の表示量が適切かを考えます。

ここで「記事のタイトルが見えない」「広告が大きすぎる」「何のページかよく分からない」と行った場合に大量離脱が起きます。逆に、意図的にそれを狙うのもアリです。
重要なのは、それらファーストインプレッションが意図した通りかを確認できることです。
もし意図通りで無いのであれば、当然リライトやサイトの設定変更を行うわけです。
解析例2. 記事が読まれる位置 / 離脱箇所を知る
次にヒートマップ解析画面の下記の「Scroll」ボタンを押下します。

そうするとスクロール量の解析画面に移ります。
ページをスクロールする毎に赤から青へ透明なグラデーションで上塗りされています。
これが赤いほど沢山の人に読まれる箇所で、青いほど読まれていない箇所を示します。

スクロールしているということは、理解されているかはともかく、記事内容を読んで貰えている可能性が高いことを示します。つまり、スクロール量≒閲覧量と考えます。
この解析で重要なのは、どこでスクロール量がガクッと落ちているかです。
例えば、90% 読まれていたところから、何らかの画像やリンクの後に 60% くらいまでスクロール量が減っていたとします。
この場合、画像やリンクが記事を最後まで読ませる障害になっている可能性があります。
これを良しとしない場合は、リンクを外したり、画像を差し替えたり、文章を書き換えたりすると良いわけです。
このようにスクロール量が分かれば、書き換えるべき箇所が具体的に分かるわけです。
この他にもユーザーガイドには、次のようなヒントが記載されています。
Scroll Map
Scroll heatmaps use colors to visualize how far down in a page your visitors scroll. When you hover on the Scroll heatmap, you see exactly how many percent have scrolled down to a certain position. This lets you for example find out if there is important content positioned too far down the page, whether your visitors are encouraged to scroll, and more.(訳: スクロールヒートマップは、色を使用して、訪問者がスクロールするページ内の位置を視覚化します。スクロールヒートマップにカーソルを合わせると、特定の位置までスクロールダウンしたパーセントが正確に表示されます。これにより、たとえば、ページのはるか下に重要なコンテンツが配置されているかどうか、訪問者がスクロールを推奨されているかどうかなどを確認できます。 )
Heatmaps User Guide - Analytics Platform - Matomo
解析例3. クリックされた箇所
ヒートマップ解析画面の下記の「CLICK」ボタンを押下します。

そうするとクリック量の解析画面に移ります。
ページをスクロールすると、小さく青から赤のグラデーションになっている点がたくさん見つかります。

これが赤いほど沢山の人にクリック箇所になるわけです。
上記だと、目次のリンクがたくさんクリックされていて、特に1番目か2番目がクリックされています。
クリックが多い程、読者の興味が強く、行動を起こしやすい箇所といえます。
そのため、こういうリライト方針が考えられます。
狙った箇所 | クリック | リライト方針 |
---|---|---|
○ | 多い | そのまま維持 |
少ない | クリックされ易いリンクや画像に差し替える | |
× | 多い | ・リンクに差し替える ・クリックされない内容に替える |
少ない | そのまま維持 |
他にも色々活用法がありますが、この3つだけでもかなり効果的なリライトが実現できます。
この他にもユーザーガイドには、次のようなヒントが記載されています。
Click Map
On the click heatmap, you can for example find out where confusing colors or elements make your visitors think that something is clickable. It also lets you see where your visitors go next or what they are looking for.(訳:クリックヒートマップでは、たとえば、混乱を招く色や要素が訪問者にクリック可能なものと思わせる場所を見つけることができます。また、訪問者が次に行く場所や探しているものを確認することもできます。 )
Heatmaps User Guide - Analytics Platform - Matomo
なお、匠はあまり活用していませんが、サイト構築初期のレイアウトの効果を計測するために使える機能としては「Mouse Move / Hover Map(マウスの移動/ホバーマップ)」があります。

これはマウスカーソルなどが移動した箇所を現していて、視線追跡に似ています。
Mouse Move / Hover Map
A mouse move heatmaps is similar to eye tracking but requires only seconds to set up and you can see results much faster. Mouse move heatmaps help you find for example useless parts on your page, which parts are ignored, where your visitors engage, whether users get distracted, and more.(訳: マウス移動ヒートマップは、視線追跡に似ていますが、セットアップに数秒しかかからず、結果をはるかに速く見ることができます。マウス移動ヒートマップは、たとえば、ページ上の役に立たない部分、無視される部分、訪問者が関与する場所、ユーザーが気を散らすかどうかなどを見つけるのに役立ちます。 )
Heatmaps User Guide - Analytics Platform - Matomo
この機能によって、先の記事だと、「あまり新着記事ガジェットは見て貰えていないな」とか分かるわけです。
そうすると、レイアウトを変更したり、あるいは目を引くようなコンテンツへ差し替えることが可能になります。
頻繁にレイアウト変更したりするようなサイトだと、かなりの効果が見込めるのではないでしょうか。
Matomo でブログを効果的にリライトする方法 まとめ
こちらの記事に示した通り、ブログのリライトを行うに当たって、Matomo は非常に有益です。
Matomo に限らず、 ヒートマップ解析は記事の品質を上げるための効果的な解析手法です。
もちろん無料でやるには限界があり、有料だと安くはありません。運用は必要です。
しかし、記事をもっと読んで読者の賛同を得たい、読者にアクションを起こして欲しい、あるいはアフィリエイトなどで一発当てたい、と考えている方にとって、間違いなくヒートマップ解析は魅力的な方法だといえます。
闇雲ではなく、キチンとデータに基づいたリライトが効果的に働けば、必然と狙った効果が出てきます。
ぜひ一度お試しいただいて、お役に立てば幸いです。