2020年は、自宅でマイクを使う機会が圧倒的に増えましたね。
仕事でオンライン会議やWebinarをするのはもちろんのこと、YouTube動画を制作だけでは飽き足らず、生配信にまで手を出してしまいました。
そうする中で、コンデンサーマイクに手を出し、オーディオインターフェースに手を出し、ついにはボイスチェンジャーにまで手を出すことになりました。
様々な効率化を求めていく中で、なぜ本格的なボイスチェンジャーを利用することになったかについて、ご紹介します。
匿名ブロガーのみならず、匿名で動画制作をする方などの参考になれば幸いです。
なぜコンデンサーマイクに手を出したか
まずは次のコンデンサーマイクを購入することにしました。

そうするとXLR端子のオーディオインターフェースが必要となり、とりあえず下記を購入しました。

下記の記事を書きたかったというのもありますし、コロナウイルス騒動で在宅勤務が続くのを予想していました。
これが大正解。
社内外とのミーティングのみならず、Webiner機会にも恵まれた中で、かなりの大活躍しました。
この時、AT2020には不満ゼロで、元々保有していたUSBマイクと比較すると雲泥の差の音質でした。
また、UM2は高音質なのに、コンパクトで操作がシンプル、低価格なので、USB端子を業務PCと私用PCの間で、ポンポン差し替えて使用することができました。
この組み合わせの強力さは、PC向けオーディオ機器の楽しさへの入口となりました。
匠は高性能オーディオミキサー AG03 を手にした
マイクとしてAT2020には正直不満らしい不満はなかったのですが、オーディオインターフェースとしてのUM2に若干の力不足を感じてきました。
それは次の3点です。
- コンプレッサーやノイズ除去を別ソフトウェアに頼らざるをえない
- ドライバがASIO4ALLで使いにくい
- ダイレクトモニタリングがモノラル(片耳しか聞こえない)
特に1は致命的で、VoiceMeeter Bananaとの組み合わせでハングしたり、毎回使うまでの準備がメンドクサイと感じ始めてきました。これ、毎日のことですからね…
そんな中、次のオーディオミキサーを手に入れることに成功しました。

購入当時は価格が高騰していましたが、偶然にも中古かつ格安で手に入ってしまいました。

このミキサーが良いのは、次の点だと感じました。
- ボリューム操作のフェーダーが便利
- コンプレッサー&イコライザー標準搭載
- 2入力のミキシング機能
- 最大192 kHz 24 ビットでステレオ出力
このオーディオインターフェースの操作の簡単さを感じると、そりゃ世のYouTuberたちは手に入れたがるよなぁと納得してしましました。
また、ヘッドホンをさっと繋いで、高音質で聞ける DAC(Digital Analog Converter)としても大活躍してくれます。
そんなわけで、この YAMAHA AG03+AT2020 で不自由なく使っていました。
本格ボイスチェンジャー VT-4 に辿り着く
そんな中、事件が起こります。
9月からYouTube配信を始めたところ、トラブルが頻発してしまったんです。
音声入力が思った通りにできない!と苦労することが何度もありました。
直接の原因は VoiceMeeter BananaのこっそりフリーズやOSのオーディオ設定の問題などでした。
しかし、根本的な原因は別のところにあったのです。
複雑なマイク入力環境1
まずは、匠がYouTube配信に使用していた配信環境を見てください。

マイク | audio-technica AT2020 |
オーディオインターフェース | YAMAHA AG03 |
ノイズキャンセリング | NVIDIA RTX Voice |
ボイスチェンジャー | Voidol |
音楽プレーヤー(BGM) | VLC |
オーディオミキサー | VoiceMeeter Banana |
オンライン配信 | OBS Studio |
一見良さそうですが、ちょっと複雑ですよね。
具体的には、下記のような問題があります。
- 配信環境を毎回セットアップするのに時間がかかる(確認含めて毎回15分くらい)
- Voidolでのボイスエフェクト後の音声品質が良くない(=聞きづらい)
- VoiceMeeter Bananaがたまにフリーズする(しかもコッソリ) など
つまり、配信環境としてはメンドクサイ環境になってしまったのです。あと、ボイスエフェクト後の音質がイマイチでした。
もちろん、Voidol自体は一般的なVTuberのような高音のアニメ声/女性声を作るには良いです。
ただ、少し低音の男性声で匿名化したいだけの自分の用途だと、良い感じ声を編み出すことができませんでした。
もちろん、設定次第なのかも知れませんが、匠は調整しきれませんでした…
複雑なマイク入力環境2
YouTube向けの動画編集ですが、こちらでも問題が露呈しました。
匠が動画向けに声収録する場合、次のような環境で収録していました。

マイク | audio-technica AT2020 |
オーディオインターフェース | Yamaha AG03 |
ノイズキャンセリング | Audacity |
ボイスチェンジャー | Audacity |
ノーマライゼーション | Audacity |
動画編集 | PowerDirector (LumaFusion) |
AT2020+AG03+Audacityで録音した後、Audacityで各種エフェクトをかけて、PowerDirectorに流し込むという作業をしていました。このワークフローで思うことは、
Audacityの処理が遅い!
とにかく遅い。短くて5分、長ければ20分くらいかかることがあります。
その原因はボイスエフェクト。というか、遅いのは「変更:ピッチの変更」です。ここにとにかく時間がかかっていることが判明しました。
なにかGPUなどのハードウェアで高速化する方法があれば良かったのですが、どうにもこうにも速くする方法はなかったのです。
もちろん PowerDirectorにもピッチ変更機能はあるのですが、ノイズキャンセリングなどが働かなかったり、動作が重かったりしてイマイチなんですよね…
また、iPadProでLumaFusionを使って動画編集した方が簡単なんですが、Audacityの処理はパソコンでしかできなかったため、泣く泣くパソコンで作業をせざるを得ませんでした。(そのため、動画の作成ペースが激落ちしたというのが実態)
正直、諦めていました。
辿り着いた高性能ボイスチェンジャー Roland VT-4
そもそも高品質なボイスチェンジャー兼オーディオインターフェースがあれば、全部兼ねられてシンプルになるのでは?と思い至りました。
そこで辿り着いたのはこちらです。

アーティスト御用達の本格的なボイスチェンジャー。いや、VoiceTransformer だそうです。
「え!?アマチュアがVT-4!?無駄じゃない?」
匠もそう思って敬遠してました。高価だし、オーバースペックだよなぁと。
しかし、下記の構成図(VT-4 Block Diagram)を見てみて、考えが一変します。
「VT-4で全部解決できる」
この小さな筐体に欲しかった次の機能が全部盛り込まれているのです。
- ローカット/ノイズゲート/イコライザー/リミッターなどエフェクター満載
- ファンタム電源搭載のオーディオインターフェース
- iPad Proへも接続可(USB-Cハブ必須)
何より明らかにボイスチェンジャーを施した後の声質が良い!
購入前は何度も何度も次のような動画を見ましたが、やはり自分で使ってみると更に良かった!
改善後の配信環境
購入した Roland VT-4 を軸に環境を再構築すると、かなりスリム化することに成功しました。

マイク | audio-technica AT2020 |
オーディオインターフェース | Roland VT-4 |
ノイズキャンセリング | Roland VT-4 |
ボイスチェンジャー | Roland VT-4 |
音楽プレーヤー(BGM) | VLC |
オーディオミキサー | (撤廃) |
オンライン配信 | OBS Studio |
ここまでシンプルにできると毎回のセットアップが超ラクです。
また、機材やソフトウェアのトラブルリスクが激減しました。
Voidol や VoiceMeeter Banana のフリーズに脅える必要が無くなりましたし、オペミスもグッと減りました。
しかも、ボイスエフェクト後の声の品質が良いです!
ノイズゲートなどのエフェクトがすごく上手く機能して、クリアに聞こえます。
これで多少滑舌が悪くても、充分に聞き取れる声になったと自負しております。
あと、やり方次第ですが、ミキサーのように2入力を使えるので、BGMを外部入力として使うこともできるのは嬉しいところです。
改善後の収録環境
Roland VT-4の導入効果は、動画音声の収録環境にも影響します。

マイク | audio-technica AT2020 |
オーディオインターフェース | Roland VT-4 |
ノイズキャンセリング | Roland VT-4 |
ボイスチェンジャー | Roland VT-4 |
ノーマライゼーション | PowerDirector LumaFusion |
動画編集 | PowerDirector LumaFusion |
こちらは Audacity が無いだけに見えます。
しかし、これで毎回の作業時間が数十分削減できるようになったのです。
動画編集ソフトで直接収録できる便利さと言ったらありませんよね!
あと、パソコンとiPadのどちらでも収録できる環境になったのは大きいです。
育児の関係上、パソコン前に座っていられないことが多いのですが、iPad Proなら作業場所を問いません。
そうして、編集作業をチョコチョコできるようになるのは大きいですよね!
これでもっと動画編集が捗って、動画の配信ペースも上がる!…はずです。
AG03はどうした?
YAMAHA AG03自体も活躍の余地はありました。次の機能は代替えが効いていません。
- ボリューム操作のフェーダー
- オーディオ出力が最大192 kHz 24 ビットでステレオ対応
- ループバック
しかし、これらの機能では作業時間は削減できません。
また、ループバック機能は構成が複雑になりがちだし、必要ならVoiceMeeter Bananaで充分に代用できます。
効率化という意味では、残念ながら効果を発揮しないということでした。
中古市場では標準価格以上で取引されているという事情もあって、敢えなく手放しました。
売却金額の三分の一で、同機能を持つ別パーツが替えるとなるとさすがに…
ただ、ご注意いただきたいのはYAMAHA AG03 は匠の使い方に合わなかっただけです。
個人向けオーディオインターフェース/オーディオミキサーとしては素晴らしく、歌ってみたや弾いてみた系をやられる方には絶対に重宝することは明白です。
また、機器に詳しくない方がゲーム配信をしたい!という用途にもカンタンに高品質な音声入力ができます。
そのため、匠とは異なる目的で使われる方にはオススメできる製品でした。
結局 Roland VT-4 はどうなの?
非常に快適です!
毎回の準備作業の手間が減ったので、ストレスがグッと減りました。
ただし、問題が0というワケではありません。
このVT-4、起動してすぐにボイスエフェクトがかかります。
そのため、オンライン会議やオンライン英会話の際に操作ミスでボイスエフェクトが発動してしまったことが何度かあります。
Zoom会議でバ美声!(違う)
その都度、あわわ!とバイパス機能を有効にして事なきを得るわけですが、ちょっと焦りますよね。
この辺は少し注意が必要かも知れません。
(たぶん、そんなヤツはいないと思いますが…
ちなみに匠は、幸いにもUM2は手元にあるので、そちらを併用しているという贅沢な使い方で凌いでいます
以上、匠がオーディオ入力環境の充実さを図って、ボイスチェンジャーへ辿り着いた経緯でした。
こちらを使ってYouTubeチャンネルでは、動画配信や生配信を行っています。(追記:2021年以降は実施していません)
https://www.youtube.com/channel/UCtP_Vv13-i561JXk8qDgZ7w2020年10月以降の配信は、すべて今回ご紹介した環境
もちろん、もっと良い環境があるかもしれませんし、動画編集や生配信のレベルアップを求めて向上させていくかもしれませんが、2020年時点では非常に満足できる環境と言えます。
もし似たような悩みを抱えていらっしゃった場合に、少しでも参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただいて、誠にありがとうございました。