

いつもの匠
3Dプリンターの造形物の糸引きが多い
湿気を吸ったフィラメントの対処に困る
フィラメントを乾かすのに手間がかかる
こんな悩みを抱える3Dプリンタユーザーの筆者を救ったのが、フィラメント乾燥機「SUNLU FilaDryer S2(以下、Fila Dryer S2)」でした。Fila Dryer S2は、このような問題を解決してくれる機材です。
サンステラ社が開始したクラウドファンディングに先駆け、筆者は先行ユーザーとして商品提供を受けました。

そこでこの記事では、筆者がFilaDryer S2を使い込んだ結果を紹介します。この記事を読んだ皆様が、FilaDryer S2もしくはフィラメント乾燥機の検討の一助になれば幸いです。
この記事では「SUNLU Fila Dryer S2」を「Fila Dryer S2」と省略します。
SUNLU FilaDryer S2 概要
SUNLU社は、3Dプリンターのフィラメントや周辺機器に特化した専門メーカーです。発展めざましい中国メーカーの中で、SUNLU社は中国・珠海に設立され、年間4200トン以上の3Dプリンターフィラメントを世界中に出荷する世界的メーカーです。詳しい説明はこちらの「メーカー SUNLU社について」をご覧ください。
株式会社サンステラが先行して日本での独占販売権を得て、SUNLU社のフィラメント乾燥機「Fila Dryer S2」を販売します。
主な特徴
- 累計45,000台出荷された世界的な人気機種
- 360°からフィラメントを最大70℃で加熱できる
- 乾燥時間を細かく設定できる
- 6.4インチ タッチパネルで簡単に操作できる
- PLA/PETG/TPU/ABS/PVA/PVB/PA/PC 素材を乾燥できる
- 樹脂ごとの自動パラメータで設定できる
- 乾燥しながら3Dプリンタ出力できる
- 電気用品安全法(PSE)認証取得済み

フィラメント乾燥機に欲しい機能は全て詰まってるね
外観とスペック

製品サイズ | 高さ 265mm x 幅 274mm x 奥行き 118mm |
パッケージサイズ | 高さ 282mm x 幅 275mm x 奥行き 124mm |
最大容量 | 210 x 86(H)mm (1000g巻 x 1巻) |
重量 | 1190g (電源アダプター含む) |
作業想定環境 | 環境温度: 20℃~35℃ 相対湿度: ≦90 |
温度 | 35℃~70℃ |
電源アダプタ仕様 | 入力: AC100V~240V、50/60Hz 出力: DC:24V±1.2、2A |
スタンバイ電力 | 0.05W |
最大電流 | 1.9A |
最大動作電力 | 48W |
液晶ディスプレイ | 6.4インチ液晶ディスプレイ |
対応フィラメント直径 | 1.75mm / 2.85mm |
(引用: FilaDryerBoxS2 | GREENFUNDING)

フィラメント1巻(1Kg)の1.5倍くらいのサイズだね
詳しくは下記の記事で確認してください。
SUNLU FilaDryer S2でフィラメントを乾かす
Fila Dryer S2を筆者が1週間に渡って、実際に使ってみた結果を紹介します。
操作がカンタン
Fila Dryer S2の特徴の1つは操作の簡単さにある、そう筆者は感じました。
まずはFila Dryer S2の蓋を開いて、以下のように吸湿したフィラメントを収めます。

あとは蓋を閉め、背面の穴にACアダプタを接続すれば、機材はセット完了です。

実際にACアダプタをFila Dryer S2に接続して、正面のタッチパネルで「ON/OFF」アイコンを長押しすると起動します。

下側にある4つのアイコンを操作して、「PV(設定温度)」と「Time(乾燥時間)」を調整します。このとき、個別に設定せずに「Material(素材)」を指定することで、自動的に設定温度を調整することも可能です。選べる素材は PLA/PETG/TPU/ABS/PVA/PVB/PA/PC の8種類。よく使われる素材は網羅されていますね。

素材を指定すれば良いだけだから簡単だね
設定が完了したら、「ON/OFF」アイコンをダブルタップすれば乾燥を開始します。

稼働中はLEDランプが点灯するため、停止している状態と区別が付きやすくなっています。
Fila Dryer S2稼働中の動作音は、以下の動画で確認してください。
動画でご覧の通り、60℃の乾燥ならほぼ無音です。これなら自宅で頻繁に使用しても、家族にうるさがられることはなく安心して利用できます。

これで妻に怒られなくてすむよっ!(切実)
あとは乾燥完了するまで待つだけです。これまでの操作で迷うことは少なく、説明書を見なくてもある程度使いこなせるレベルでした。
高い乾燥能力
Fila Dryer S2 最大の特徴は、その高い乾燥性能にあります。

- 印刷時・特許技術の 360°一周全体で加熱するヒーティングプレートを採用した
- 加熱効率が30%向上できる
- 短時間でムラなく均一に造形できる
- 吸湿したフィラメントを造形する際のリードタイムを大幅削減できる
従来のフィラメント乾燥機は、AmazonなどのレビューやTwtterでのツイートを見る限り、乾燥性能がイマイチという印象でした。しかし、このFila Dryer S2の乾燥性能は、筆者からは文句をつけるところがないくらい十分なものだと感じました。
この乾燥性能の検証ができ次第、改めて記事に追記する予定です。
乾燥しながら出力する
Fila Dryer S2の特徴の1つに、乾燥しながら出力も可能です。その秘密はFila Dryer S2の構造にあります。
Fila Dryer S2を開けると、以下のように2本の棒が設置されています。

この2本の棒の上にフィラメントリールが乗って、FilaDryer S2内で回転することができます。フィラメントの先は用意された穴から出して、そのまま3Dプリンタで出力できます。

ダイレクト式ではなく、ボーデン式(エクストルーダーにPTFEチューブ経由でフィラメントを供給する形式)であれば、このような形態で利用可能なようです。

ここまで急いで乾燥させながら出力したい場面がどれだけあるのか、ちょっと疑問ではあります。梅雨など湿気の高い時期に、PVBやTPUなど吸湿が早そうなフィラメントを使うなら良いのかもしれません。

穴のないフィラメントリールでも使えるね
筆者のメイン3Dプリンタ Prusa i3 MK3Sはダイレクト式ですが、アダプタなどを作って工夫すれば使用できるのではないかと思案中です。もし検証できたら、改めてこの記事に追記する予定です。
気になるポイント
FilaDryer S2を使用してみて、筆者が気になったのは以下の3点です。
- 乾燥完了が分からないので、ビープ音が鳴ると良い(スマホへの通知だと更に良い)
- ACアダプタが取り外せる機構でない方が良かった(取り外せる意味はない)
- 片付けやすいようにACアダプタ一体型/電源ケーブルが収納できると更に良い
3Dプリンタ関連の機材はちょっとした使い勝手を犠牲にしがちです。しかし、一般家庭での利用を広げていくのであれば、こういったちょっとした使い勝手も考慮してくれると、もっと購入する人の裾野が広がりますよね。

「生活家電ではなく精密機械」という免罪符で、3Dプリンタメーカーはサポートしてくれないことがあるから困るよね
今後の改善を期待しています。
SUNLU FilaDryer S2は安定した3Dプリンタ出力を支援できる
Fila Dryer S2があれば、手軽にフィラメントを乾燥できます。つまり、Fila Dryer S2が吸湿問題を解決して、3Dプリンタ出力を安定させられるわけです。
この記事を読んで、Fila Dryer S2を購入したいと感じた3Dプリンタユーザーは以下からクラウドファンディングで支援すると良いでしょう。
また、クラウドファンディング終了後はサンステラモールで販売されるはずですので、こちらもチェックしておきましょう。

この記事が3Dプリンタユーザーの吸湿問題を解消し、楽しい3Dプリンタライフのお役に立てることを願ってやみません。
最後まで読んでいただきまして、誠にありがとうござました。