この記事をご覧の皆様は、電子メールをすごく使っていますよね?
Slackといったカジュアルなコミュニケーションツールや、Zoom/Teamsに代表されるビデオチャットツールが全盛となっている昨今です。
しかし、電子メールだって欠かせない存在です。

会社で利用するなら会社のアカウントだけ利用していれば良いのですが、プライベートとなると複数のアカウントを使い分ける必要が出てきます。その手間、会社よりもプライベートの方がメールボックス管理の煩雑です。
しかも、毎日数通ならまだしも、迷惑メールを除いてメールマガジンを含む百通を超えるようなメールを毎日裁くとなれば、スマートフォンやタブレットで済むわけがありません。未読/フラグを駆使しても煩雑になることは想像に難くありません。
そこで、匠が何年もかけてWindowsメーラーを渡り歩いてきた成果として、結局どのメーラーが最も効率良くメールを捌けるかをご紹介します。
苦労に苦労を重ねた検証結果を、ぜひ皆様に生かしていただければと考えます。
要件
先にお伝えしておきます。
この記事はライトユーザーには不要です。
ヘビーユーザー/SOHOユーザーが対象です。
プライベートでメールボックス管理をしようとすると、下記は必須要件です。
- 複数メールアカウント対応できること(5アカウント以上)
- IMAP4/Gmail/iCloud対応していること
- メールボックスの統合表示できること
- セキュリティ機能(TLS/迷惑メール対策/画像表示の制限など)が充実している
- 未読メールだけをワンクリック表示できること
- フラグ付けできること
- ショートカットキーのカスタマイズ
- 100件超/日のメール対応に違和感がない
以上、優先度の高い順で並べてみました。
特に、メールボックスの統合表示なんかはメールの見落としを防ぐ重要機能だったりしますし、セキュリティや未読/フラグ管理も重要です。
逆に、下記の機能は有れば便利ですが、必須ではありません。もちろん使い方によるとは思いますけど。
- カレンダー/ToDoリスト連携
- LDAPもしくはクラウドのアドレス帳サービスへの対応
- 送信前のチェック(添付ファイルの添付漏れ)
- POP3対応
- チャット機能
- スレッド表示
- スペルチェック
- メール翻訳
- タグ付け
- Exchangeなどのグループウェア連携 など
このようなニーズに合う方は、本記事の選択方法は合っていると思いますので、ぜひご覧ください。
結論

先に結論を書いておきますと、一番ニーズに合ったのはこちらです。
いや、本気ですってば。
無料が良くて、とにかく頑張って使い込んでみました。しかし、乗り越えられない壁があって仕方なく有料にも色々と手を出してみました。実費を払って試してきたんです。そうした上で、至った結論です。
下記を見てみると、機能差が明確です。
メーラー名 | Thunderbird | Outlook | |
---|---|---|---|
動作の軽さ | ○ | △ | × |
複数アカウント | ○ | ○ | ○ |
Gmail対応 | ○ | ○ | ○ |
iCloud対応 | ○ | ○ | ○ |
メールボックス の統合表示 | ○ | ○ | × |
未読フィルタ | ○ | ○ | △ |
フラグフィルタ | ○ | ○ | ○ |
高速検索 | ○ | ○ | △ |
ショートカットキー のカスタマイズ | ○ | × | × |
アドオンの充実 | × | △ | ○ |
2〜3年使い込んだ結果に基づくとこうなりました。
特に、黄色アンダーラインを引いたところは致命的な違いです。
比較表では単なる○×ですが、作業効率にするとそれぞれで2倍になるくらい違います。特に、統合表示の有無はメールの見落としに影響しますからね。
というわけで、text-decoration: none;eM Client の圧勝でした。
eM Client
そもそも、このクライアントご存知ですか?
あまり見たこと無いかも知れませんが、下記のバナーから公式サイトへ訪問できます。
知らないですよね。匠も探して渡り歩くまで、まったく知りませんでした。
eM Clientは、チェコ共和国のeM Client s.r.o社が開発する電子メールクライアントである。メール送受信の他、カレンダー、連絡先管理、およびタスク管理もできる。日本では、株式会社LODESTAR JAPANが販売代理店を務めている。
eM Client – Wikipedia
日本語版は 2017年リリースという最近のメーラーですね。
ただ、企業が作ってサポートしている素性のしっかりしたメーラーです。いや、OSSやフリーソフトがダメとは言いませんけどね。
何より、先の比較表の通りに今回の要件をすべて満たせることが重要です。
- 軽い
- 多機能
- ショートカットキー他カスタマイズ性が高い
- 画面がオシャレ
- サポートがしっかりしている
特に、ショートカットキーのカスタマイズができるのは、今やこのメーラーだけになってしまいました。
また、画面がキレイなのもイマドキです。


ただし、すべて満点というわけではありません。
- 有料
- アドオン(ガジェット)がほとんどない
- 日本ではユーザー数が少なくてレア
1番の短所は有料です。しかも安くはありません。
これは逆にサポートがしっかりしていることでもあります。M$社は有料なのに大してサポートしてくれませんから、その点は大きなアドバンテージと言えるかもしれませんね。
また、アドオンは充実していませんから、拡張性が低いと言わざるを得ません。
そのため、今後の機能拡張は eM Client社に頼らざるを得ません。ここはSDK提供など、今後に期待したいところ。
とはいえ、それらの欠点を補って余りあるほどの優位点があるため、匠にはその価値があると判断して、eM Clientを選択しました。
Thunderbird

猫も杓子も「Thunderbirdで十分」と言いますよね。匠もそう思ってました。

FireFoxと並んでMozilla財団が開発・提供する有名ソフトウェアです。
統合メールボックス表示や動作の軽さ、検索も高速なのは、たくさんのユーザーが利用する裏付けとして十分ですよね。
- 無料
- 軽い
- 機能豊富
- アドイン豊富
- クイックフィルタや統合フォルダはかなり良い
しかし、今や一強ではなくなってしまったと考えます。


- フォルダあたり1000通超えると速度がガタ落ち
- 定期的なメンテナンスが必要
- 枯れた便利なアドオンが使えない
- メール一覧が洗練されていない
- メール作成ウインドウがゴツい…
- ショートカットキーのカスタマイズができない など
まず、すごく軽いんですが、メール数が増えてくるとどんどん重くなります。1メールボックスのフォルダあたり1,000通超えるとガタ落ちです。
あと、セキュリティを理由に便利なアドオンがたくさん使えなくなった「Thunderbird 60」以降はホントにダメ。ショートカットキーをカスタマイズできないなど便利な機能が軒並み使えなくなってしまったので、魅力がガタ落ちです。
ショートカットキーの割り当てもあんまり良くなくて、キーボードで操作したいユーザーにとってはストレスが溜まります。
メール削除は DELキー じゃなく Ctrl-d でやりたいんだよ!
未読ON/OFFは Ctrl-Q または Ctrl-U じゃないと厳しい!
ちょっと個人的な拘りが出てしまいましたが…
それでもライトに使う分にはまだまだ優れたメーラーだと思いますので、これら不便な点が気にならない方が利用されるのは良いと思います。
ちなみに、LinuxならThunderbird一択なんですけどね、ほぼ。
Outlook

企業での利用率は No.1 であろうメーラーというか、グループウェアです。
- 会社で利用する時と同じ操作や画面で利用できます。
- Microsoft 365契約でWordやExcelと併用可能です。
- アドオンが充実。
- 企業向けに多彩な追加機能を利用可能。
- 関連メールは探しやすい

ここまで最大限持ち上げてきましたが、実はプライベートではもう絶対に使いたくないメーラーだと感じています。ホントつらい。
- 動作が重い
- 同期処理が重たい
- 検索が遅い
- 統合メールボックス表示ができない
- ショートカットキーをカスタマイズできない
- 未読表示に欠陥あり
- トラックポイントでスクロールが動作しないことがある
まず、とにかく重いのが致命的です。ハイスペックなPCであれだけモッサリするのはどうしてなんでしょうね…

また、バージョンアップされた時の「それじゃない」感もOutlookらしいところです。
そして、一番の問題は未読表示が重複してしまうことです。

よく「重複防止/重複メール削除」がアドオンとして見受けられるのは、この辺にあるんでしょうね。
不具合なのかなんのか分かりませんが、こういう場合に頼る先がないんですよね、サポートとか。インターネット探し回りましたし、色々試したけど全部ダメだったんですよね。
この辺はM$社ソフトウェアを使いたくない!と思わされる一因だったりします。
いずれにせよ、企業でグループウェアとして利用するならまだしも、プライベートで利用するのは避けたいソフトウェアだなと考えています。
Webメーラー

利用している人も多いGmailやYahoo!メールに代表されるWebメーラーですが、本気で使うと必要な要件を満たせないのが実情です。
特に、比較すると一つ一つの動作が重いのはストレス以外の何者でもありませんし、ブラウザの重さにひきづられてしまうところもマイナス。
また、複数アカウントで使おうと思ったら、複数のメーラー(タブ)を使い分けたり、転送設定をしたり、とにかくめんどくさいです。
ちなみに、メールボックスの統合表示ではなく転送設定にすると、送信する時の送信元の使い分けに困るんですよね。よく間違ってしまって焦ります…
もちろん無料ということで割り切って工夫すれば我慢できる人もいるでしょう。
しかし、本気で使いたいユーザーが使うとなれば、有料もしくはアプリで勝負している専門ソフトウェアには明らかに劣るわけです。
1アカウントだけしか使わなくて、1日十数件さばくだけなら別に構わないのですが、今回の要件である5アカウント以上100件/日のメールを裁くことを考えると厳しいです。
効率/時間を金で買うか、無料で工夫するか、そこはそれぞれの事情によるところでしょうね。
その他のメールソフト
ちなみに、下記は昔いずれも使っていました。それぞれ半年〜5年くらい使っていましたね。
しかし、機能的に不足していることが明らかだったので、ここ数年は本格的には利用はしていません。
- Windowsメール(OS標準)
- Shuriken(有料)
- Sylpheed(無料)
- EdMax(有料)
- Becky Internet Mail(有料)
- nPOPQ(無料)
- SeaMonkey(無料)
一応、今回のために一瞬入れて試してみましたが、やはり機能不足は変わらず。
特に、メールボックスの統合表示や未読/フラグのフィルタが弱いのが残念でなりません。軽くて好きなメーラーもあるんですけどね。
これからのメーラーに求められるのは?

まだまだメーラー/メールソフトウェアには、求められる機能がたくさんありますよね。匠的には下記が欲しいですし、追加してくれるなら費用がかかっても良いと考えています。
- Twitter メンション/DM対応
- LINE/Facebook Messenger/Viber/Skype対応
- Slack DM対応
- Instagram DM対応 など
統合的なメッセージ管理ツールとして、最もっと進化してくれると作業効率が上がって、匠が楽に生きられるになるのですが…
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。